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第6回西日本ダービー

積極策から直線抜け出し快勝
 自慢の末脚でダービー2勝目

西日本6県の競馬場の持ちまわりで実施される西日本ダービー。今年の舞台は名古屋競馬場だ。地元愛知は5頭、兵庫、高知、佐賀から2頭ずつ、金沢から1頭と、それぞれの競馬場でデビューした12頭が集結した。

人気は三つ巴の様相。1番人気は兵庫ダービー2着のシェナキングで単勝2.3倍。前走のMRO金賞を勝った勢いでの参戦で、名古屋コースの経験があることもアドバンテージといえよう。兵庫ダービー馬スマイルサルファーが2番人気で3.2倍。前走は大井の黒潮盃に出走し6着と健闘した。そして愛知のブンブンマルが3.3倍で3番人気と続いた。駿蹄賞、東海ダービーは2着に敗れたが、2歳時からこの世代を牽引してきた立場として地元の意地を見せたいところだ。

この日の名古屋競馬場は雨が降ったり止んだりの空模様。メインレースの時間帯には雨脚が強くなり馬場状態は稍重に変わった。

ゲートが開くと、ブンブンマルが好スタートを決めたがダイセンハッピーが外から押して先手を主張した。ブンブンマルはそのまま2番手に控え、積極策のスマイルサルファーが3番手のイン。フューリアス、スプリングメドウ、シェナキングなどが団子状態で直後を追走していた。

3~4コーナーに入ってもダイセンハッピーの逃げは変わらなかったが、直線入口では好位集団にいた馬たちが一気に押し寄せ、横並びの激戦模様。そこから抜け出したのがスマイルサルファーだった。残り100メートル手前で先頭に立つとそのまま勢いよく伸び優勝。1馬身差の2着はシェナキング、道中後方を追走していた高知のブラックマンバが豪快な末脚で3着に入った。ブンブンマルはゴール前で交わされ4着だった。

人気を集めていた兵庫勢がしっかりと実力を見せた。ただ、着順は兵庫ダービーと変わらなかったが、両陣営とも「これは枠順の差」との見解だった。スマイルサルファーの渡瀬寛彰調教師は「騎手が上手く乗ってくれた。枠が逆だったら負けていたかもしれない」とコメント。シェナキングの吉村智洋騎手は「うーん、勝つのは運も必要ですし、これが現実だと受け止めないと」と非常に悔しそうな表情。「枠が外すぎました。スタートも良くて前々にはいけましたが、2列目の外3頭目だとさすがに厳しかったです。やれることはやったのですが、あれ以上どうすることもできませんでした。仕上げも、走り自体も良かったのですが」と振り返った。

勝ったスマイルサルファーはこれが重賞2勝目。3歳の春まではタイトルまであと一歩のレースが多かったが、ここにきての成長が著しい。渡瀬調教師によると、プリサイスエンド産駒は気性面で大変な馬が多いが、この馬は1歳で去勢をしているのでその効果が大きいのだろうとのこと。そのおかげで距離ももっているのかもしれないし、遠征に関しては全く問題ないそうだ。今後について、当初はこのレースの後、年内全休を予定していたが「欲が出てきますね」と渡瀬調教師。現段階では、休養、ダービーグランプリ、地元の楠賞、名古屋の秋の鞍という4つの選択肢の中から考えていくとのこと。デビューからコンビを組んでいる大山真吾騎手も「この馬と色んな競馬場に行きたいです」と意欲を見せていた。この後もスマイルサルファーの全国区での活躍が楽しみだ。

取材・文 秋田奈津子

写真 国分智(いちかんぽ)

Comment

大山真吾騎手

一筋縄ではいかないと思っていましたが馬がよくがんばってくれました。内枠だったので内でためる競馬をしようと考えていました。シェナキングも良い脚を使うので直線ではどうかと思いましたが、前で楽に走れていたぶん引き離すことができましたね。折り合いもつくし末脚が素晴らしい馬です。

渡瀬寛彰調教師

前走できつい流れを経験したことが活きました。遠征って力を発揮することが難しいのですが今回は100パーセントに近いレースでしたね。ずっと馬体重が減っていたのですが今日は戻すことができたし、まだまだ成長しています。古馬に入っても重賞戦線を賑わす馬だと思います。また南関東にも行きたいです。