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第50回戸塚記念

ゴール寸前で鋭く差し切る
 春の無念を晴らし重賞初制覇

『3歳秋のチャンピオンシップ』の一戦、戸塚記念。2018年より南関東SIIからSIに格上げされた。南関東クラシックで熱戦を展開してきた面々が、ひと夏越して再戦するのも興味深い。

東京ダービー馬アランバローズは路線を変更し、テレ玉杯オーバルスプリントJpnIIIへの参戦を表明。今年は11頭と少頭数になったが、ジャパンダートダービーJpnIを単勝12番人気で制して大きな反響を呼んだキャッスルトップが2.9倍で1番人気に推され、クラウンカップと黒潮盃の覇者ジョエル、東京ダービー2着馬ギャルダル、同3着馬ブライトフラッグ(北海道時代の重賞ウイナー)、羽田盃馬トランセンデンスと、10倍以下のオッズにはクラシック戦線をにぎわせた馬たちが続いた。

その戦いに終止符を打ったのは、矢野貴之騎手が手綱を取った7番人気セイカメテオポリス(大井・渡邉和雄厩舎)。春は悔しい思いをしてきた大井生え抜きの素質馬が、秋に大きな花を咲かせる結果になった。

セイカメテオポリスは休み明けで、馬体重はマイナス14キロ。「牧場から厩舎に帰ってきて攻め馬をさせてもらった時にスリムになったなぁという感じはありましたが、今日の返し馬では普段通り雰囲気も良かったので安心して乗っていました」と矢野騎手。

仲野光馬騎手にエスコートされたキャッスルトップが最内枠から果敢にハナを切り、抜群のスタートを切ったギャルダルはピタリと2番手でマーク。その後ろに、トランセンデンスやジョエル、ランドファーストが続き、セイカメテオポリスは中団の内を追走。「枠順も内枠(2枠2番)だったので、ハナ(を切った馬)の後ろを取れればいいなぁと思っていましたが、ペースも流れていたのであの位置になりました」

隊列はほぼ変わらず進んでいったが、勝負所の2周目3コーナーでギャルダルがキャッスルトップを交わして一気に先頭へ立つと、後続を引き離しにかかった。その時点でも、セイカメテオポリスは7~8馬身後方でポジションは変わらず。「4コーナーの手応えも良くて外に出したかったのですが、もたれる感じで内しか空いていなかったので、結果的にはそれも良かったのかなぁと思います」

直線に入ってからもギャルダルがリードを保ち、勝負は決したと思ったところ、後続馬たちが反撃開始。ギャルダルと、これをつかまえにいったトランセンデンスやジョエルの間から、セイカメテオポリスが鋭く差し切って先頭でゴールした。勝ちタイムは2分17秒8(重)。

1馬身後方の2着争いはし烈を極め、2着のトランセンデンス、3着のジョエル、4着のギャルダルまでがそれぞれハナ、ハナ差。

セイカメテオポリスは三冠全てに出走。それ自体が立派なことではあるのだが、残念ながら結果が伴わず。この馬に惚れ込んでいた関係者にとっては悔しい結果に終わっていたが、ここでついに念願のタイトルを獲得。距離は2000メートルくらいあった方がいいタイプということで、今後はダービーグランプリや、大井の準重賞スターバーストカップ、さらには古馬戦への挑戦など視野に入れていくそうだ。

一方、キャッスルトップは6着に敗れた。最内枠から逃げて自分の形に持ち込んだものの、早くからピタリとマークされる厳しい展開。

「1周目のゴール過ぎでやめようとしていたり、相手にマークされてストレスがかかる競馬になってしまいました。状態はもっと良くなりそうで、馬のせいではありません。こんなに負ける馬ではないので……」と仲野騎手は肩を落とした。今回は残念な結果に終わったが巻き返しを期待したい。

取材・文 高橋華代子

写真 築田純(いちかんぽ)

Comment

矢野貴之騎手

当初から攻め馬をずっとつけさせてもらっていて、なかなか思うようにいかないこともありましたが、雰囲気が良くて重賞も狙えるんじゃないかと思っていたので、ひとつ大きいタイトルを獲れて非常にうれしい。すばらしいメンバーの中でこういうレースを勝ったことは、この馬の自信にもなりますね。

渡邉和雄調教師

デビュー前から大きいところを獲れる馬だと、オーナーや自分たちに対してずっと言い聞かせてきたので、ようやく結果が出て本当にうれしいです。クラシックは思うような結果が出ませんでしたが、その鬱憤を全部晴らすかのようないい競馬でした。これからもっともっと強くなってくれる馬だと思います。