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ヤングジョッキーズシリーズ TR 園田

第1戦を制した木本騎手が暫定首位に
  父が活躍した園田で永島騎手が勝利

ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)のトライアルラウンド(TR)は西日本地区では今回の園田と、11月18日の名古屋を残すのみとなる。TRが行なわれるたびに順位の変動も大きく、ここでTRの戦いを終える予定の地方所属7名のうち妹尾将充騎手(高知)は4位とファイナル進出へ向けて当落線上。「悔いのないように楽しみます」と気を引き締めた。

一方、岡遼太郎騎手(高知)と飛田愛斗騎手(佐賀)はこれが初遠征。特に第2戦で最内枠が当たった岡騎手は「初めての内ラチ競馬なんですけど、どんな感じなんでしょう。絶対にファイナルに進みたいです!」と不安と楽しみが入り混じった様子。地方競馬史上最速で通算100勝を達成した飛田騎手の元には入れ替わり立ち替わり地元の記者が取材に来るなど、注目を集めた。なお、JRAでは齋藤新騎手が今年のYJS初戦を迎え、魚住謙心騎手(金沢)、妹尾騎手、岡騎手、飛田騎手はそれぞれ1鞍のみの騎乗だった。

第1戦は地元の木本直騎手が“園田ペース”にうまく持ち込んで逃げ切り勝ちを決めた。スタートから先手を取ると、1コーナー手前でスローに落とすという園田でよく見られるレース展開。逃げ馬にとっては絶好の流れで、そうなれば直線でも木本騎手とピエナシニスターの脚色は衰えることなく、大外から勢いよく追い込んだ魚住騎手はアタマ差届かなかった。「金沢の癖が、と言えば言い訳になってしまうのですが、コーナーで少し外を回りすぎたかなと思います」と、着差が僅かだっただけに魚住騎手は「めーっちゃ悔しいです」と顔をしかめた。

3着は逃げた木本騎手の直後のインで脚を溜めた井上瑛太騎手(高知)。「勝ちパターンでしたよね」と、4コーナーでスペースができた瞬間は勝ちを確信したほどの手応えだったが、やはり楽なペースで逃げた木本騎手を捕らえるのは難しかったよう。4着には「枠を利用して2~3番手に行った方がいい、と赤岡修次騎手からアドバイスをもらっていました」という通りに騎乗した妹尾騎手。5着は先週の調教中に太ももを負傷しながらも大事には至らなかった長尾翼玖騎手(兵庫)が入った。

第2戦は小学6年生までを園田競馬場で過ごした永島まなみ騎手(JRA)とチェリーウラノスが勝利。父は当地の元騎手で、重賞や乗り替わりなど、ここぞという時に強さが光った永島太郎調教師とあって、先頭で直線を駆け抜けると、スタンドからは拍手が起こった。

逃げ・先行勢がやや軽快に運ぶ中での差し切り勝ちを検量室前のモニターで見守った永島調教師は「すべてを上手くは乗っていないですけど、向正面での馬のリズムは良かったです」と、少ない言葉ながら先輩としての厳しさと父親としての優しさを覗かせた。

2着も後方から追い込んだ飛田騎手で、「勝ったと思いました」と悔しがった。さらに3着も道中は永島騎手のすぐ後ろのポジションにいた泉谷楓真騎手(JRA)で、やはり差し馬台頭の展開。4着は内でロスなく乗った岡騎手、5着に松本大輝騎手(JRA)で、直前の第9レースを勝って4キロ減卒業となる51勝目を挙げた佐々木世麗騎手(兵庫)は6着だった。

2戦を終えて、地方騎手たちはポイントと順位をマスコミに逆取材。YJS終盤戦ではお馴染みの光景となっているが、特にポイントを気にしたのは西日本地区で地方1位に立った木本騎手。自身はTR騎乗は終了予定とあって、「ちー(同期・兼子千央騎手のこと)がTR名古屋で勝って、地方2~4位の騎手も上位に入着したら、ファイナルに行けない可能性もありますね……」と何度もポイントを計算。TR名古屋で騎乗予定がある飛田騎手は「岡、がんばろう!」と後輩騎手と園田のリベンジを誓い合った。JRAでは上位3名の順位に変動はなく、松本騎手が4位に浮上した。

西日本地区最後のトライアルラウンドは見る側も戦う側も熱くなりそうだ。その前に、東日本地区では、10月13日にTR川崎、同26日にTR船橋が行なわれる。

取材・文 大恵陽子

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 木本直騎手(兵庫)

1コーナーでペースを落とせて、2番手の馬も競ってこなかったのがいい方に向きました。力みながら走っていましたけど、いいペースに持ち込めましたし、経済コースでロスなく回れたことも最後の着差に繋がったかなと思います。本戦に向けていいステップを踏めました。あとはTR名古屋の結果を待つだけです。

第2戦1着 永島まなみ騎手(JRA)

馬はすごくいい状態と担当の方から聞いていました。向正面から肩ムチを入れるときちんと反応してくれて位置を上げていき、3~4コーナーではもう一つ反応してくれました。最後は後ろから来ていましたが、負けずに粘ってくれて馬に感謝の気持ちで一杯です。たくさんの応援のお陰もあって勝てました。