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第32回テレ玉杯オーバルスプリントJpnIII

3コーナー先頭から突き放す
 東京ダービー馬は逃げて3着

11月3日に金沢競馬場で実施されるJBC競走を前に大事な一戦でもある、テレ玉杯オーバルスプリントJpnIII。

かきつばた記念JpnIII、サマーチャンピオンJpnIIIと連勝中で通算4つのタイトルホルダー、ラプタスが単勝1.8倍の1番人気に推されると、黒船賞JpnIIIや兵庫ジュニアグランプリJpnIIを制しているテイエムサウスダン、今年の東京ダービー馬で全日本2歳優駿JpnIを勝ったアランバローズまでの3頭が10倍以下のオッズとなった。

終わってみれば、岩田康誠騎手がエスコートしたテイエムサウスダンの完勝だった。「前走は騎乗停止中で乗れなかったので、今回は自分で攻め馬をして馬を作って納得のいくレースで挑みました」と岩田騎手。

展開の鍵を握ると思われていた最内枠のラプタスは、ジャンプ気味のスタートで中団からの競馬を余儀なくされた。するとアランバローズが52キロの軽量を生かし先手を取って展開は縦長。少し離れた2番手にはテイエムサウスダンが続き、その後ろにはグランドボヌールやティーズダンクが追走。結果的に上位3頭はここまでのポジションの馬だった。

3コーナーで、テイエムサウスダンがアランバローズに早々並びかけて先頭に代わると、4コーナーでは一気に後続との差を広げにかかった。

「(いつもは)手前を替えない仔ですが、今日は馬の調子も良くて全部替えてくれました。終始手応えも良くリズム良くアクションに応えてくれて、3コーナーでとらえた時にはちょっと早いかなと感じていましたが、浦和は小回りで先行有利な馬場なので強気に行けました。イメージ以上に好走してくれたと思います」

岩田騎手のステッキに応えながらテイエムサウスダンの力走は最後まで続き、2着に追い込んできたティーズダンクに2馬身差。勝ちタイムの1分24秒6(良)はレースレコードだった。

テイエムサウスダンはサウスヴィグラス産駒の4歳牡馬。530キロ台の雄大な馬体の迫力あふれる走りは非常に印象的だ。この後はJBCスプリントJpnIを目指す予定で、ダートスプリント路線の頂点を目指す。

一方、果敢に逃げたアランバローズは3着に粘り込んだ。「斤量が軽かったにしても、休み明けで初の古馬を相手に、自分の競馬をして頑張ってくれました。スタートから押していったのは新馬戦以来ですが、二の脚で反応してくれたのも能力だと思います。(3コーナーから)半馬身前に出られて多少ひるんだところもありましたが、次につながる上出来な内容でした。このくらいの距離がベストですね」(左海誠二騎手)。

レース後に陣営の表情が明るかったのは、今後に向けても収穫を得たからだろう。この後は当初からの予定通りJBCスプリントJpnIに向かうそうだ。短距離路線に転向した東京ダービー馬の活躍に期待したい。

取材・文 高橋華代子

写真 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

岩田康誠騎手

右回りも左回りも、1400メートルという距離もいいですし、4歳なのでまだまだ走ってくれると思います。無観客競馬なので静かな競馬でしたが、ゴール板の所ではちょっと叫んでしまってガッツポーズも出ました。勝ってナンボの世界ですし、自分自身は熱いので、勝つと(ガッツポーズも)出てしまいますね。

飯田雄三調教師

放牧に出して涼しくなったこの時期を狙っていました。岩田君は調教師が起きてくる前から馬屋に来て、馬に跨って運動をして、長い時間をかけて調教をしてくれて、レースもうまく乗ってくれました。見かけは太くて重そうに見える馬なのでいつも心配していますが、競馬に行けば強い走りをしてくれますね。