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第68回日本テレビ盃JpnII

マイペースの逃げで押し切る
  充実の7歳牝馬がJBC制覇狙う

優勝馬にJBCへの優先出走権が与えられるRoad to JBCが日本テレビ盃JpnIIからスタート。約1カ月後の大一番に向けて見逃せない戦いが続く。

今年の日本テレビ盃JpnIIで最大の注目は復帰戦を迎える王者クリソベリルの存在だ。昨年のチャンピオンズカップGIで国内初の敗戦(4着)を喫した後、ケガのため長期休養を余儀なくされ、今回は約10カ月ぶりの実戦。しかしGI/JpnI・4勝の実績は断然で単勝1.5倍と圧倒的な支持を集めた。

2番人気は、船橋コースに実績があり斤量54キロも魅力の紅一点サルサディオーネで5.4倍。今年のダイオライト記念JpnIIの勝ち馬ダノンファラオが3番人気で6.3倍と続いた。

ゲートが開くと抜群のスタートを切ったサルサディオーネが8枠10番から内に切れ込み先手を取った。クリソベリルは2番手、メイショウダジンが外から3番手につけ、ダノンファラオがその後ろで前をマーク。少し間が開いてノンコノユメ、ラストマンが追走していた。

向正面では1馬身半くらいの差で逃げていたサルサディオーネ。3コーナー辺りで少し差を広げるとそのまま先頭で直線へ入った。それを追いかける後続勢だが、ラスト100メートルでクリソベリルが後退すると、替わりにダノンファラオが勢いよく伸び前に迫った。しかし尻尾を振りながら最後まで踏ん張ったサルサディオーネが半馬身差で逃げ切ってみせた。2着ダノンファラオから1馬身差の3着にはメイショウダジンが入った。

注目のクリソベリルは6着という結果。川田将雅騎手は「10カ月ぶりだったのでさすがに息がしんどそうでした。ただ、返し馬やレース中も競馬を楽しんでくれていました」とコメント。この後、当初の目標だったチャンピオンズカップGIに向かうかどうかは状態しだいとなりそうだ。

日本テレビ盃JpnIIで地方馬の優勝は2010年フリオーソ以来、そして牝馬の勝利はダートグレードになった1998年以降で初という快挙を成し遂げたサルサディオーネ。昨年は超ハイペースに力尽き9着に敗れたが、その雪辱も果たした。

レース直後、驚いた表情を隠せなかった堀千亜樹調教師だが周りから「おめでとうございます!」と声をかけられると「ありがとう!」と笑顔が弾けた。サルサディオーネはこれでダートグレード4勝目。しかも牡馬相手のJpnIIでの勝利だから価値が高い。さらに7月から重賞3連勝という7歳牝馬にしてこの充実ぶり。スタートダッシュのスピードがさらにアップしているというのは驚愕で、堀調教師からは「ある意味大きな誤算」という言葉がでたほどだ。

また、絶妙なペースでサルサディオーネを勝利に導いた鞍上の矢野貴之騎手も絶好調だ。7月からの3カ月間でなんと重賞7勝。今回の勝利については驚きと嬉しさが相まってか「この勝負服も僕に似合ってきた頃だと思います」といつもクールな矢野騎手からお茶目なコメントも聞かれた。

充実一途のこのコンビで次に挑むのは大一番JBCレディスクラシックJpnIだ。長距離輸送に、初コース、マイペースで逃げられないかもしれないなど、越えなければならないハードルはいくつもある。それでも今のサルサディオーネなら、どんな逃走劇を披露しくれるのか楽しみの方が大きい。

取材・文 秋田奈津子

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

矢野貴之騎手

今日も普段通り良い雰囲気で臨めました。難しいことは考えずに馬のリズムだけを考えてレースを進めました。最後は止まっている感じもありましたけどよく踏ん張ってくれましたね。非常にびっくりしていますが、この馬の自信になる勝利だと思います。JBCではまた一つ大きな花を咲かせたいです。

堀千亜樹調教師

54キロだったので上手く粘ってくれないかと思っていましたが牡馬相手だったので気楽な気持ちで見ていました。7歳ですが一戦ごとに力をつけています。常に安定した状態で出走でき、とても賢くて並はずれた牝馬ですね。JBCではこの馬のスピードを十分に発揮したいと思います。