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第61回姫山菊花賞

直線盛り返して人気にこたえる
  橋本厩舎の実績馬がワンツー

この1年ほど、園田・姫路競馬の古馬中距離重賞はジンギとエイシンニシパを中心にまわっていると言っても過言ではないだろう。

ファン投票と記者選抜により出走馬が選出され、“園田のグランプリレース”とも称される園田金盃を昨年はジンギが制すると、正月の伝統重賞・新春賞はエイシンニシパが同レース4度目の制覇。春の兵庫大賞典はジンギが優勝というふうに、2頭が圧倒的な強さを誇る。それゆえ、姫山菊花賞はこの両馬の参戦により、大井と船橋からの遠征馬2頭を迎えてもフルゲートを割る10頭立てとなった。

単勝1.4倍の1番人気に支持されたジンギはこれが秋初戦。前走6月の六甲盃こそ逃げ馬を早めに捕まえに行く形となり、ゴール前でトーセンブルに差され2着に敗れたが、「休養先でも乗っていて、予定通りここを目標に帰厩しました」と管理する橋本忠明調教師は約4カ月ぶりのレースでも胸を張った。

2番人気はスウィングビート(船橋)。パドック周回前は僅差の3~4番人気だったが、地元記者も驚嘆するほどの好馬体を披露すると、オッズが徐々に下がって最終的に5.2倍。差がなく8月の摂津盃を勝ったエイシンデジタル、そして2017年と昨年にこのレースを勝ったエイシンニシパまでが10倍以下で、5番人気ゴールデンブレイヴ(大井)は39.2倍と、上位4頭に人気が集中した。

逃げたのはスウィングビート。前走は小回り浦和の1400メートルで先行したとあってダッシュを利かせると、その後ろにジンギがつけ、内にエイシンニシパと人気馬が先行集団を形成した。

向正面入口付近からスウィングビートが徐々に後続を離しにかかり、ジンギはムチを入れられながら何とかついていく格好。対照的に抜群の手応えだったのは内のエイシンニシパで、直線を向いて進路ができると、そのまま突き抜けるかと思われたが、その瞬間、ジンギの闘志にも火が付き、馬場の軽い外めに出されるとグングン伸びて勝利した。1馬身半差の2着にはエイシンニシパ、4馬身差の3着にスウィングビートだった。

勝ったジンギが充実期の5歳に対し、エイシンニシパは8歳ながら勝ちを意識するほどの手応え。これには吉村智洋騎手も「年齢差もありますが、他馬相手によくがんばりました。内枠を生かしてうまく出していきましたが、勝ち馬はやはり力がありますね」と同厩舎のライバルを称えた。3着スウィングビートは「追ってあまりいい脚がないと聞いていたので、リードを取れるところで取っておきたいと思いました」と笹川翼騎手は早めに動いたが、「前半に力んだ分、最後に響きました」と、前走から300メートルの距離延長に加え、初のコーナー6回のコース形態が響いたようだ。

勝ったジンギは3歳時などに勝負所での反応がやや鈍く映ることもあったが、今回は主戦の田中学騎手でさえ負けを覚悟したところからの勝利とあって、さらに地力の高さを見せた。

このレースはJBC指定競走だが、今後の予定については「次走は12月2日の園田金盃で、年内はその1走のみの予定です」と橋本調教師。地元ファンからは再度のダートグレード参戦を望む声もあるが、「オーナーと相談して考えていきたいです。まだまだ良くなる手応えがあるので、大事に育てていきたいです」と、慎重にプランを考えるようだ。

取材・文 大恵陽子

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

田中学騎手

レース間隔が空いた分もあるのか、勝負所で手応えが怪しくてヒヤッとしましたが、最後は力で勝ってくれました。直線ではしっかりと伸びてくれました。

橋本忠明調教師

南関東から強い馬が来ていて、どこまでやれるかと思いましたが、よく決めてくれました。レースはどこからでもと思っていました。勝負所での反応が悪いなと感じましたが、久々の分かなと思います。今年は間に1戦せず、直行で園田金盃を目指したいと思います。