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第21回サンライズカップ

夏からの成長で人気馬を一蹴
  距離延長3連勝で重賞初制覇

JBC指定競走であり、未来優駿の一戦でもあるサンライズカップ。以前より出世レースとして知られていたが、ホッカイドウ競馬の関係者にとっては昨年からJBC2歳優駿JpnIIIという身近な大目標ができたことによって、より重要視されるレースとなった。

9頭立てではあるものの、2歳戦の層が厚いホッカイドウ競馬で素質の高さを見せてきた期待馬が顔を揃えた。栄冠賞を制したモーニングショー、ブリーダーズゴールドジュニアカップのシャルフジン、そしてサッポロクラシックカップのリコーヴィクターという重賞勝ち馬3頭が単勝2~3倍台で人気が拮抗。しかし勝ったのは、やや離れた4番人気のナッジで、ここにきての成長力をアピールした。

3番枠のシャルフジンが自然なかたちで先頭に立つと、外からモーニングショーがぴたりと2番手。前は7頭がほぼ一団となって、内枠のリコーヴィクター、ナッジは控えてその集団の後方を追走した。

3コーナー過ぎからペースが上がって直線を向くと、モーニングショーの脚色がやや一杯になり、シャルフジンが後続との差を広げた。しかし勝負どころで落ち着いた騎乗を見せたのが、ナッジの阪野学騎手だった。3コーナーで先行馬群の外に持ち出すと、直線ではじわじわと先頭との差を詰め、残り100メートルで差し切った。

シャルフジンは1馬身半差で2着。2馬身差で3着にはリコーヴィクターが入ったが、ペースアップした3コーナー過ぎで慌てたか、他馬の進路を妨害する場面があり、鞍上の山本咲希到騎手は戒告。モーニングショーは半馬身差で4着だった。

勝ったナッジは、初勝利がデビュー3戦目の未勝利戦。その後も勝ちきれないレースが続いたが、8月以降、1700メートルのアタックチャレンジ、ウィナーズチャレンジを連勝。距離を延ばしての充実ぶりが、タイトルホース3頭を上回る結果となった。

「乗り馴らしのころから乗せてもらって、だんだんと力をつけてきてるのがわかって、馬の成長力もすごいと思います」と語った阪野騎手は、2017年道営スプリント(ポアゾンブラック)以来、4年ぶりの重賞制覇となった。

一方、2着に敗れたシャルフジンだが、関係者に落胆の様子は見られなかった。「牧場から戻ってあまり時間がなかったので、次はもっと良くなると思います」と服部茂史騎手。あくまで目標はJBC2歳優駿JpnIIIに置いているようだ。

思えば第1回として行われた昨年のJBC2歳優駿JpnIIIは、地元北海道勢のワンツーだったとはいえ、勝ったラッキードリームはサッポロクラシックカップ勝利から臨んだものの6番人気、2着トランセンデンスはそこまでの重賞で勝ちきれず11番人気という波乱の決着だった。今回、シャルフジンほか敗れた馬たちだけでなく、別路線から参戦する馬たちも含め、これからの1カ月で勢力図はまだまだ変わってくる可能性はありそうだ。

取材・文 斎藤修

写真 浅野一行(いちかんぽ)

Comment

阪野学騎手

なるべく先行するような形で、どこからでもいいなと思って折り合いだけ、ちょっとごちゃつくところがあったので、そこは気を付けました。前走も馬場は悪かったんですが、特に問題なく走ってくれたので大丈夫だと思います。まだまだ大きいところを狙えると思うので、がんばりたいと思います。

田中正二調教師

阪野君で勝ってくれたので、よけいにうれしいです。春先は馬が落ち着かないような状態だったんですが、最近はすごく落ち着いて、どんどん大きくなってくるような感じがして、そういうところが走る結果になったと思います。走るたびに勝ち方も強くなっているので、JBCでもいい結果を出せると思います。