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第34回ダービーグランプリ

追い比べを制し低評価を覆す
 6頭遠征の南関東が3着まで独占

今年のダービーグランプリも10月の第1日曜日。1着賞金が2000万円に増額され、他地区所属馬の出走枠も8頭から10頭に拡大されたことで出走馬が充実。最初に発表された他地区の出走予定馬から4頭が回避して、リーチ、ギガキング、シェナキング、ギャルダルが補欠から繰り上がった。

その反面、地元所属馬は出走枠の6頭分が埋まらず。それでも前走不来方賞で2着に2秒6の大差をつけたマツリダスティールは単勝6.1倍で4番人気となった。

豪華な顔ぶれで上位人気が拮抗するなか、単勝4.3倍で1番人気に支持されたのは、重賞未勝利のギャルダル。地元の専門紙にも厚い印が並んでいた。しかしパドックでのギャルダルは気負いが感じられる雰囲気。一方、2番人気のジョエルと3番人気のセイカメテオポリスは落ち着いた歩きを見せていた。北海道で3歳三冠を獲得したラッキードリームは7番人気でも単勝11.1倍で、ゆったりと歩いていた。

騎乗合図がかかり、キャッスルトップ、シェナキング、ギガキングなどが先に本馬場へと移動。闇夜にファンファーレが響くと、スタンドのファンから大きな拍手が贈られた。

ゲートが開き、前を取りに行こうとしたのはケラススヴィアとギャルダル。しかしその2頭を制してキャッスルトップが先頭に立った。12番人気で制したジャパンダートダービーJpnIは単騎逃げだったが、前走の戸塚記念に続いてマークされる形での逃げになった。

その流れは盛岡の2000メートルにしては速いと感じられるもの。キャッスルトップは3コーナーあたりで手応えが怪しくなったように見えた。その場所は高低差4.4メートルの下りになっているところ。そこで上昇してきたのは、道中は先行グループの直後にいたギガキングとジョエルだった。

その勢いは直線の上り坂でも止まらず、最後の200メートルは完全に2頭の一騎打ちとなり、ギガキングがジョエルをクビ差でしりぞけて勝利。5馬身離れた3着にセイカメテオポリスが入った。

その激闘で力を出し切ったのか、ゴール後にジョエルが大きくつまずいて、鞍上の張田昂騎手が落馬。しかしジョエルはすぐに確保され、張田騎手も歩いて検量室に戻ってきた。

ギガキングは前走の戸塚記念が5着で、今回は8番人気での勝利。管理する稲益貴弘調教師は「じつは12月にある船橋の3歳限定戦を狙うつもりだったのですが」と笑顔。3着だったセイカメテオポリスの矢野貴之騎手は、「展開は向きましたが、それ以上にハマった馬が前に2頭いましたね」と、仕方ないという表情で話した。1番人気のギャルダルは4コーナーで失速して11着、4番手を進んだマツリダスティールは13着、ケラススヴィアは大差の最下位だった。

それを考えると、5着に粘ったキャッスルトップは、やはり実力があると言っていいだろう。仲野光馬騎手は「馬の状態は前走以上でしたが、ゲートの出がいまひとつ。そこが今後の課題になりますね」と話した。

なお、このレースの発売金額は3億3594万7800円。2億5千万円余りだった昨年を大きく上回った。その理由は間違いなく、出走馬の充実ぶり。ダービーグランプリは地方所属馬の3歳頂上決戦として、さらなる発展を遂げていくことだろう。

取材・文 浅野靖典

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

和田譲治騎手

以前よりも砂をかぶっても大丈夫になってきましたし、今回も前のほうでレースを進めることができました。最後は(ジョエルに)前に出られるところがありましたが、勝負根性を見せて最後まで頑張ってくれました。これからもこの勝負根性を武器にして、活躍してくれると思います。

稲益貴弘調教師

2歳のときに盛岡で走った経験はアドバンテージになるかなと思って挑戦しました。ジョッキーには4コーナーまでスムーズに進めてくれと言いましたが、勝った東京湾カップのように、うまく流れに乗れましたね。ゴール前は机を叩いて応援しましたが、それ以外のことはまったく覚えていません(笑)。