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第67回平和賞

中5日も予定通りで直線抜け出す
  父母ともGI馬の良血は芝でも期待

これからの地方競馬を担っていく若駒たちによる秋の2歳主要競走シリーズの未来優駿。その一戦でもある平和賞は、今年で67回目を迎える船橋競馬場伝統の一戦だ。

過去の勝ち馬を遡ってみると、この10年だけでも、のちの全日本2歳優駿JpnI覇者ヴァケーションや、東京ダービーを制するヒカリオーソにインサイドザパーク、羽田盃馬ストゥディウムなどそうそうたるメンバーが名を刻む。

今年は、新馬戦の衝撃的な勝ち方からも大きな注目を集めていた無敗馬ランディスシティが、残念ながら左後肢の挫跖により出走取消になったことで、より混戦を極めた。

レースは最後まで白熱し、今野忠成騎手が手綱を取った6番人気ライアンが67代目の勝ち馬に輝いた。南関東のリーディング小久保智調教師が手掛ける精鋭。実は、10月21日に浦和でのレースを勝ったばかり。疲労もなく、ここに向けて中5日での参戦は予定通りのローテーションだったという。

北海道から唯一の参戦だったノーズトゥテールがハナを切っていくと、すかさずグッドボーイが直後につけ、その後ろにはレティクルやマイブレイブが続き、それらを見ながらライアンが追走。向正面に入ると先団にミネソタも加わって、前は固まる展開。

勝負所の3コーナーでレティクルが先頭に変わったが、すかさずライアンも上がっていき直線に入ると一気に先頭へ。内からマイブレイブ、外からは脚を伸ばしてきたミスターブラストが襲いかかったが、ライアンがそのまま押し切り混戦を制した。1分41秒8(不良)は、この日のB級戦と遜色のない勝ちタイムだった。

「遊び遊び走っている感じなので、これからもっと良くなっていくと思います。この馬で大きいレースを勝ちたいですね」(今野騎手)

ライアンの父はディープインパクト、母がペルーのGIパンプローナ大賞を連覇したライアンズチャーム。小久保調教師の話では、そのライアンズチャームが出走したブリーダーズカップフィリー&メアターフを現地観戦していたこともあり、思い入れも深いそうだ。

「ライアンはデビュー前の3カ月でグッと変わってくれました。走りにもゆとりがあって、どんなレースでもできそうですね。血統的にも中央の芝に挑戦させたいです」(小久保調教師)

今後は12月の全日本2歳優駿JpnIから1月には中山・芝のジュニアカップに挑戦する予定であることを明らかにした。

まだ若さ溢れる走りからも、今後どんなふうに大人の階段を上がっていき、どんな舞台に挑戦していくのか、非常に楽しみになってきた。

取材・文 高橋華代子

写真 国分智(いちかんぽ)

Comment

今野忠成騎手

コースやナイターなど初物尽くしの中でも全然気にする素振りもなくて、馬の気合いのりも良かったです。思った通りのレースが運べたので良かったですが、直線に入ってちょっと(ステッキで)叩き始めたらフラフラした面もあったので、周りの騎手に迷惑をかけて申し訳なかったです。

小久保智調教師

今野騎手は癖もつかんでいるだろうし、乗り方で何も言うことはありませんでした。いつになく真面目に走っている所が見えたので、逆に最後まで気を抜かないようにと見ていましたが走ってくれて良かったです。まだまだ開花していないので、これからすごく楽しめると思います。