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第8回ラブミーチャン記念

早めの仕掛けで直線突き放す
  金沢からの遠征で重賞2勝目

グランダム・ジャパン(GDJ)2歳シーズンの第3戦は、笠松所属でダートグレード5勝を挙げた名牝・ラブミーチャンの名を冠したレース。

各地の2歳戦でたびたび見られる『北海道デビュー馬vs.地元デビュー馬』の構図はここでも変わらず、北海道から遠征のグラーツィア、現在は金沢所属のエムティアンジェ、地元のシャローナなどの人気どころは北海道デビュー組。そこに3番人気で割って入るドミニクは笠松での今年最初の2歳新馬戦を勝っており、期待が寄せられた。

3コーナー引き込み線からのスタートとなる1600メートル戦は、内枠に逃げ馬が入るとやはり有利。園田プリンセスカップを逃げ切り勝ちしたグラーツィアが最内枠に入り、予想通り先手を取った。外にシャローナがピタリとつけ、ゲート内で少しゴソゴソしたエムティアンジェは4~5番手外、その後ろにドミニクで、前の馬群は比較的かたまった。

レースは向正面に入ると早くも動いた。エムティアンジェが外からグラーツィアに並びかけ、4コーナー手前で頭ひとつ抜け出すと、直線も手応え良く伸びて3馬身差で勝利。北海道時代には未勝利戦でグラーツィアに7馬身以上もの差をつけられ敗れたことがあったが、逆転を果たした。

その要因の一つは、馬体重が増えて成長したことだろう。デビュー時は446キロだった体は金沢への移籍初戦となった2走前には470キロまで増えていた。「体が増えて成績も残しているので、うまく成長してきていると思います」と栗原大河騎手。移籍初戦にして重賞初制覇となった金沢プリンセスカップでは4コーナーで後ろを確認するくらい手応えに余裕があり、前走の兼六園ジュニアカップはエンリルの2着に敗れはしたものの、4コーナーまで食らいつき「改めてこの馬のすごさを感じました」という。「普段の調教でも堂々と歩いていて風格があって、走る馬ってこういう感じなのかなと思います」という話からも栗原騎手が自信を持って乗ったであろうことが伝わってくる。

一方、グラーツィアは園田プリンセスカップでは放馬のアクシデントに見舞われながらも勝ち、タフなメンタルを見せていたが、2着。1600メートルという長めの距離や、早めに勝ち馬に来られる展開などが影響したのかもしれない。さらに4馬身差の3着にはドミニクで、単勝人気上位3頭での決着とあって3連複は180円だった。

GDJ2歳シーズンでは、2着9ポイントを加算したグラーツィアが24ポイントで暫定1位。なお、勝ったエムティアンジェはこのあと11月28日の金沢ヤングチャンピオンや12月15日川崎・全日本2歳優駿JpnIを視野に入れているとのことだ。

取材・文 大恵陽子

写真 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

栗原大河騎手

レース前は2着馬の外につけられたらと思っていましたが、ゲートが開く直前にうるさくなり2列目からになりました。早めから飛ばしていったので最後は脚が上がりましたが、3~4コーナーの手応えは良く、馬が強かったです。金沢を背負って立つ馬だと思うので、僕もそれに恥じないよう騎乗したいです。

佐藤茂調教師

状態は前走と同じくらいでした。先行できる馬なので、笠松の1600メートルというコースもそんなに心配はしていませんでした。ゴールの瞬間は「やってくれたな」と思いました。徐々に体重が増えていますが、まだ成長途上だと思います。この後は地元か川崎への遠征か、と考えています。