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第6回黒潮ジュニアチャンピオンシップ

楽に後続を突き放し8馬身差
  圧倒的なスピードで3連勝

黒潮ジュニアチャンピオンシップの第1回が行われたのは2016年だった。その前年の2015年には高知で2歳馬による新馬戦が17年ぶりに復活しており、高知競馬の売り上げ回復で馬主にとっては2歳馬を入厩させられる状況に好転したことの象徴のような形でのスタートだった。

その第1回を制したフリビオンはその後も黒潮皐月賞、高知優駿、西日本ダービーを勝ち、珊瑚冠賞、高知県知事賞では古馬を撃破し3歳で高知の頂点に立った。第3回の覇者アルネゴーも黒潮皐月賞、西日本ダービーを、昨年第5回を制したハルノインパクトも黒潮皐月賞、高知優駿を制し、今年でまだ第6回だが、すでに出世レースとして定着している。

今年もその系譜を継ぐ存在としてファンや関係者から熱い視線が注がれる素質馬が駒を進めてきた。これまで2戦2勝のマリンスカイだ。桜花賞と秋華賞のJRA二冠牝馬テイエムオーシャンを伯母に持つ良血で、800メートルのデビュー戦で8馬身差、1300メートルに延びた2戦目が9馬身差の圧勝だった。2度の出走取消があったように体質面の弱さもあるが、他のメンバーとの持ち時計の比較でも抜けており、パドックでも鶴首で気合い十分に周回。単勝は最終的に1.1倍となるほど断然の1番人気だった。

1強ムードが漂う中、2番人気は、遠征した園田プリンセスカップ10着から巻き返しを図るリュウノアンジェラで7.1倍、3番人気は名門・雑賀正光厩舎が送り出すリワードタイフォンで7.7倍と、メンバー中最多の3勝を挙げている2頭が続いた。4番人気以下のオッズは大きく離れた。

ゲートが開くと、マリンスカイはこれまで2戦と同様、序盤からエンジンを全開。手綱を押すライバルを尻目に、スピードの違いで主導権を奪う。追走してきたのはぴたりと外につけたリュウノアンジェラのみ。向正面では、マリンスカイがつくる速い流れに後続馬は追走するだけで必死で、騎手の手が大きく動く状況だった。

3コーナー過ぎまで食い下がったリュウノアンジェラを突き放したマリンスカイは直線独走。リュウノアンジェラに8馬身差をつけての圧勝となった。3着は、道中8番手から伸びた9番人気のマオノウイッシュで、さらに4馬身差がついていた。

勝ち時計の1分30秒0は、第1回のフリビオンのタイムを2秒も短縮するレースレコード。また同距離で行われる伝統の2歳重賞・金の鞍賞のレースレコードをも1秒4も上回った。

検量室へ続々と引き揚げてくる敗れた馬たちの騎手は異口同音に「速いし、強すぎる」と苦笑いで振り返るしかなかった。このレースでは第1回から第3回まで連続2着で、待望の初制覇となった宮川実騎手は「スピードと心臓がすごい。(高知初の1億円獲得馬となった)スペルマロンとたたき合いができるような馬になってほしい」と大きな期待を語った。

今後は11月27日の準重賞・土佐寒蘭特別(1600メートル)か、優先出走権を獲得した12月28日の金の鞍賞(1400メートル)を予定している。打越勇児調教師は「どちらになるかは、馬の状態を見ながら。これから距離を延ばしていくので、マイルでどこまでやれるかも見てみたい」と話した。

取材・文 松浦渉

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

宮川実騎手

ゲートは1歩目が上手じゃないが、二の脚が速くスピードが他の馬とは違う。前半400メートルが23秒半ばと聞いたが、それで行ける2歳馬はそういない。使うごとに良くなっているが、それでも道中は軽く遊んでいた。距離も今のところマイルまでなら大丈夫だし、今後が楽しみ。

打越勇児調教師

能力も違うけど、今日は枠も馬場も良かった。いいスピードがありますね。状態面の自信はありましたが、今回は未対戦の相手がいたのが気になりましたし、相手は郷間君の馬(リュウノアンジェラ)と思っていました。ゲートの1歩目が良くないのは怖がりな面が出ている感じですね。