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第11回JBCレディスクラシックJpnI

初距離でも鋭い末脚を披露
 1番人気に応えJpnI初制覇

百萬石ウィンドオーケストラによるファンファーレの生演奏で幕を開けた金沢競馬場でのJBC競走。そのひとつめとなるJBCレディスクラシックJpnIは、金沢に不慣れな人馬が多かったためか、やや乱れたレースになった。

スタート直後に2番ゲートからスタートしたサルサディオーネが蛇行。その影響でリネンファッションの進路が狭くなってしまった。さらに1コーナーでは先行集団を形成した4頭がぶつかり合うような形になり、外側にいたクリスティが大きく外にはじかれてしまった。

そこでは大きな声を上げる騎手もいたという危険な状況だったが、2コーナーではサルサディオーネが単独で先頭に立ち、後続の各馬の位置取りも落ち着いた。ただ、出走12頭のうち10頭が前走よりも距離短縮で、小回りコースの経験が少ない馬もいるメンバー構成。レース後に「この馬に1500メートルは短いかなと思いました」と武豊騎手が話したリネンファッションが3コーナー手前でサルサディオーネに並びかけていったのは正解だったといえるだろう。

その外をマドラスチェックが追走して、3コーナー手前での先行グループは3頭。しかし左回りに良績が集中しているサルサディオーネは早々に失速し、リネンファッションが代わって先頭に立った。

その形は3番手を進んだマドラスチェックにとって、いい目標。最後の直線に入ったところで先頭に立ち、そのまま押し切る構えを見せた。

しかし勝ったのは、そのさらに外から伸びてきたテオレーマ。中団後ろから徐々に位置取りを上げて勝ち切ったその内容は、2年連続で白山大賞典JpnIIIを制している鞍上の川田将雅騎手の経験値の差がもたらしたものかもしれない。

一方、マドラスチェックは2年連続でのJBCレディスクラシックJpnI・2着で、齋藤新騎手は惜しいところでダートグレードでの初勝利を逃す結果。それでも重賞戦線での安定した成績を今回も披露する結果にはなった。

早めに動いたリネンファッションは3着。武騎手は「最後の直線は余力がありませんでした」と話したが、1コーナーまでに2度の不利を受けてのものだけに、ダートグレードで2戦連続2着だった実力は示した。

単勝2番人気に推されたレーヌブランシュは4着で、好位追走から流れ込んだという内容。パドックでは首が高い歩きで物見が激しく、こちらも金沢コースが悪いほうに影響したように映った。松山弘平騎手も「小回りでこの距離はすこし忙しい印象」とコメントしていた。

そのなかで5着に健闘したのが浦和のラインカリーナ。陣営からの指名を受けて岩手からやってきた山本聡哉騎手は「馬のリズムを重視して乗りました。いろいろな経験をしている馬なので初コースも心配していませんでしたが、差のない競馬ができたので大健闘だと思います」と笑顔。管理する小澤宏次調教師もうれしそうな表情で検量室前に戻ってきたラインカリーナを迎えていた。

取材・文 浅野靖典

写真 いちかんぽ(早川範雄、築田純)

Comment

川田将雅騎手

返し馬から状態の良さを感じることができたので、自信を持って乗りました。いい時の雰囲気で走ってくれていたので、これなら大丈夫だと思いましたし、最後の直線でもこの馬らしい動きをしてくれました。自分の能力を安定して出せるタイプだと思いますし、これからも期待していただけたらと思います。

石坂公一調教師

前走後に馬の状態がさらに上がっていましたので、それよりもさらに上げていこうと考えて、緩めずに負荷をかけてきました。レースは川田騎手に任せましたが、ゴール前では大きな声が出てしまいましたね(笑)。目いっぱいの仕上げで臨みましたので、今後はしばらく休ませることになると思います。