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第21回JBCスプリントJpnI

コース取り冴えた川田騎手
  直線内から突き抜けて完勝

好メンバーが揃ったJBCスプリントJpnI。東京盃JpnII上位組が人気の中心で、1番人気は海外でも好走歴のあるレッドルゼルで2.0倍。2番人気は1400メートルの重賞で5勝をあげているサクセスエナジーで4.8倍。3番人気は今年の東京スプリントJpnIIIとクラスターカップJpnIIIの勝ち馬リュウノユキナで5.5倍。地方勢もディフェンディングチャンピオンのサブノジュニアをはじめ、実力馬モジアナフレイバーや3歳のアランバローズなど実績馬たちが集結した。

今年の大きなポイントは、小回り2ターンの金沢1400メートルという舞台だ。さらには、今の金沢は内が深い独特の馬場のため進路取りも重要になってくる。実際、JBCレディスクラシックJpnIのレース後、多くの騎手がコース適性についてコメントしていた。

そんな中、この個性的なコースを全く問題にしなかったレッドルゼルが鮮やかに勝利を飾った。JBCレディスクラシックJpnIから連続で表彰台に立った川田将雅騎手は「状態が良ければこのメンバーで負けることはないと思っていました」と語った。

予想通り、モズスーパーフレアが先手を取り、2番手にベストマッチョ、サクセスエナジーやリュウノユキナが続き、レッドルゼルも大外枠から好位につけた。モジアナフレイバーは中団、サブノジュニアは後方でレースを進めた。3~4コーナーでレッドルゼルの川田騎手は内を選択して前へと進出。「この深い砂でも十分こなせるパワーを持っているので外を回すよりは内に行く方がベターだと思いました」と、直線でもモズスーパーフレアの内から伸び、最後は突き放して勝利を手にした。

3馬身差がついての2着争いは接戦となったが、こちらも直線でインを突いたサンライズノヴァが2着、半馬身差の3着にモズスーパーフレアが残った。

圧倒的な強さで、ダートスプリントの頂点に立ったレッドルゼル。馬を信じて進路を導いた川田騎手の好騎乗も光った。もともとデビュー時から安定した走りを続けてきたが、5歳の今年、根岸ステークスGIIIで重賞初制覇を飾ると、フェブラリーステークスGIでも4着に健闘し、ドバイゴールデンシャヒーンGIで2着と初の海外遠征でも好走した。前走の東京盃JpnIIは海外遠征帰りの休み明けということで3着に敗れたが、叩き2戦目の大一番で最高の結果を出し、まさに本格化。どんな状況にも対応できるポテンシャルの高さには驚くと同時に、レッドルゼルの時代が到来したことを予感させるような今回の走りだった。安田隆行調教師によると、今後はフェブラリーステークスGIを視野にいれながら再びドバイに挑戦したいとのことだ。

2着サンライズノヴァは5番人気。吉原寛人騎手とは2019年のマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIを優勝して以来のコンビとなった。「もちろん基本は外が伸びますが、このレベルのメンバーだと外を回る距離のロスの方が痛いと判断しました」と金沢コースを知り尽くした名手の騎乗はさすがだった。

3着のモズスーパーフレアは1年ぶりのダート挑戦。松若風馬騎手は「コーナー4つが課題だったが上手に息が入れられました。でもやはり1200メートルがベスト。その分最後に差されてしまいました」と振り返った。

地方馬最先着は4着のモジアナフレイバー。「ゲートも落ち着いて出られて良かったです。小回りも上手く対応してくれました。レース直後、福永(敏)調教師と“大きいところを獲りたいたい”と話しました」と今回が3度目のコンビとなった真島大輔騎手。これまで何度もダートグレードで見せ場を作ってきた馬だけに、どこかで大きなタイトルを獲ってほしいと願うファンも多いだろう。

今年はコースの攻略が大きなポイントとなったが、来年のJBCスプリントJpnIはコース形態が全く異なる盛岡の1200メートル戦。1年後のこの舞台に向けて、全国のスプリンターたちの新たな戦いが始まる。

取材・文 秋田奈津子

写真 いちかんぽ(早川範雄、築田純)

Comment

川田将雅騎手

前走を使ったことでとても良い状態で競馬場に来れました。返し馬でも具合の良さを感じたので自信を持って競馬をしようと思いました。1400メートルでコーナー4つのコースなのでどうなるかと思いましたが全く問題なかったです。海外でも活躍している馬ですし、能力を示すことができてよかったです。

安田隆行調教師

馬の状態がすごく良かったので期待していました。4つのカーブがあるので心配していましたが全く問題なくて嬉しかったです。前走は夏負けが尾を引いていましたが今回は状態もすごく上がっていました。