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第64回道営記念

4コーナー先頭から押し切る
  26年ぶりの道営記念2連覇

ホッカイドウ競馬のシーズン最終日、最終第12レースに行われる道営記念には不思議な緊張感がある。道営記念といえば、名伯楽からファンまで皆が憧れるレースで、過去5勝を挙げた常連で、9月に亡くなった林和弘調教師の笑顔が思い出される。

昨年の優勝馬クインズサターンに、2年前に林厩舎所属で優勝し今年は前哨戦の瑞穂賞を制しているリンノレジェンド、ここを照準に転入してきたサンビュートなど15頭が揃った。

1つ前の道営スプリントを、アザワクで逃げ切った桑村真明騎手はインタビューで「最終も逃げ切って勝つ」。その通り、リンノレジェンドで先手を奪いにいった。そうはさせじと道営記念4勝の五十嵐冬樹騎手を背に1番人気サンビュートが並びかけ先頭に立った。6頭の先行集団から4馬身ほど空いて、クインズサターンは中団から。直後にオタクインパクトがつける。

クインズサターンは3コーナー手前からじわじわと上がっていき、4コーナーで先頭に立った。そのまま押し切り2着に1馬身半差をつけ、1995年ササノコバン以来という2連覇を達成した。勝ちタイムは2分5秒3。

唯一の3歳馬、オタクインパクトが成長を感じさせる脚で2着に追い込んだ。3着は昨年の2着馬ルールソヴァール。サンビュートは10着、リンノレジェンドは13着だった。

クインズサターンの落合玄太騎手はゴール前で大きくガッツポーズ。さらに、検量所前で出迎えて拍手を送る両親やその仲間ら、ファンに向かって拳を突き上げた。安田武広調教師はスーツの汚れも気にせず馬の首筋に抱きつき、厩務員は首筋を叩いて人馬をたたえ、喜びを爆発させた。落合騎手は「最近前半の行きっぷりが悪いところがあり、オーナーの指示で中団でレースを進めた」。亀田和弘オーナーと「レースで、嬉しくて涙が出るとは……。感無量」と話す生産者の新ひだか町・佐竹学さんらが、一丸となって掴んだ勝利を喜び合っていた。

「思い描いた通りにうまくいった」と話す4年目の落合騎手は前日に通算300勝を達成。写真撮影では連覇を表す2本の指を掲げ、精悍な顔つきが頼もしい。「強い馬に乗って成長してくれている」と安田調教師も信頼を寄せる。

複数回重賞を優勝した馬の馬主と調教師に対してJBC協会からボーナスが支給される『カウントアップチャレンジ2021』で、クインズサターンはカウントアップM(ミドル・マイル)重賞3勝ボーナスを獲得。閉幕とともに休みに入り、3連覇に向け充電期間を過ごす。

道営記念の売上は3億5656万9100円。ホッカイドウ競馬の本年度の発売金額は522億9969万2470円で1年間の発売金額レコードとなった。さらにJBC2歳優駿JpnIIIなどもあった最終開催は、1開催の発売金額レコードだった。

取材・文 小久保友香

写真 浅野一行(いちかんぽ)

Comment

落合玄太騎手

めちゃくちゃ嬉しいです。返し馬もしっかりハミを噛み、自分から進んでいったので自信を持っていた。4コーナーでは手応えが良く、またひとつ伸びる感じがあった。今年の重賞では悔しい思いをしたのでここは絶対に(勝つ)、という気持ちだった。

安田武広調教師

最高に嬉しい。手入れしながら状態の良さを肌で感じていた。騎乗はイメージ通りで最高でした。3コーナーを過ぎて、ハミを噛んで上がっていったので、勝てるかな、と力が入りました。ゆっくり休んで春から重賞を狙っていきたい。3連覇できるよう頑張ります。