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第37回プリンセスカップ

出負けも断然人気に応える
  次走大井で2歳女王を狙う

 グランダム・ジャパン2歳シーズンも、このレースを含めて残り2戦。ただ、今回はポイント上位馬の出走がなく、ここで好走した各馬が最終戦の東京2歳優駿牝馬(大井)へ向かうのか、向かうのであれば、そこでどの程度のパフォーマンスを見せられるのかが焦点となった。

 注目はホッカイドウのレディーアーサー。牡馬相手のイノセントカップを勝ち、エーデルワイス賞JpnIIIでも0秒3差(6着)と、トップクラスの力を示している。初の左回りや距離延長など、克服すべき課題はあったが、地方の2歳牝馬では一枚上の素質があると見られ、単勝1.2倍の圧倒的な1番人気に支持された。

 地元のマルルットゥが出走を取り消して8頭立て。スタートで後肢を滑らせたレディーアーサーだったが、徐々に位置取りを上げると3コーナーでは4番手。内めを通って直線に向き、逃げたアップテンペスト(岩手)の外に持ち出すと、鋭く脚を伸ばして先頭へ。インを突いた大井のササキンローズが迫ったものの、ゴール前でこれを突き放し、2馬身差で勝利した。

 エーデルワイス賞JpnIIIは外々を回って6着に敗れたが、地方交流の舞台できっちり巻き返した。服部茂史騎手は「出負けしたうえにトモ(後肢)も滑らせましたが、普段はスタートも出るタイプ。トモの筋肉がついてきたのが大きく、末脚にも磨きがかかってきました。距離も延びたほうがいいと思います」と成長に目を細めた。

 管理する田中淳司調教師は「積極的に運ぶプランだったけど、ちぐはぐな競馬になってしまいましたね。もっといい内容で勝たせたかった」と話したが、むしろ地力の高さを誇示したかたち。次走の予定は東京2歳優駿牝馬で、「メンバーは強くなるし、多頭数にもなるので、今回みたいに出遅れたりすると良くないですね。(直線の短い)内回りコースでもあるので、ポジションを取りに行く競馬をさせたいと思っています」とイメージをふくらませた。

 後方を追走したササキンローズが2着。初めての左回りもあってか、4コーナーでは急に内に切れ込み、さらにモタれるようなトリッキーな動きを見せたが、高橋悠里騎手がうまく修正しながら脚を伸ばした。「スタートで外に吹っ飛んだし、4コーナーで追い出したときも気の悪さを出しました。ただ、動きが俊敏で、瞬発力がすごい。いいものを持っていると思います」と高橋騎手。今回がデビューから3戦目で、初めての輸送競馬。大井所属とはいえ、暗い時間のレースも初めてだけに、幼さを見せたのは仕方のない面もある。ただ、それでホッカイドウのトップクラスと2馬身差なら上々。地元に戻っての活躍が期待できる。

 逃げたアップテンペストが3着。ササキンローズから7馬身差と水を開けられたが、これで盛岡では7戦して全て3着以内と安定した走りを見せている。軽快な先行力もあるだけに、今後も左回りを舞台に全国のトップクラスと互角に渡り合う存在となりそうだ。

取材・文 大貫師男

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

服部茂史騎手

4コーナーで窮屈になるところもありましたが、力のある馬ですから抜け出すことができました。エーデルワイス賞は自分が大事に乗りすぎて悔しい思いをしましたが、その雪辱を果たすことができました。長めの距離も合うと思うので、東京2歳優駿牝馬でもいいレースができると思います。

田中淳司調教師

ローレル賞を使う選択肢はありましたが、暮(東京2歳優駿牝馬)の権利を取ることを優先してこのレースを選びました。輸送距離も短いですからね。エーデルワイス賞は力負けではないと思っています。距離も長いほうがいいはずですから、当初の予定どおり東京2歳優駿牝馬へ向かいます。