今年のJBCクラシック(金沢)は、吉原寛人騎手が手綱を取ったミューチャリー(船橋・矢野義幸厩舎)が、JBC創設21年にして地方所属馬悲願の勝利を飾ったことは大きな感動を呼びました。
ミューチャリーは2016年3月31日に、北海道の芳住鉄兵さんの牧場(新冠)で誕生。父はパイロ、母はホッカイドウ競馬で8戦7勝の成績を残しているゴッドビラブドミー、母父がブライアンズタイム、母母はゴッドインチーフという血統の5歳牡馬。
遡り、ゴッドビラブドミーにパイロをつけたのはどうしてだったのでしょうか。
「ダーレーさんには別の繁殖のためにアドマイヤムーンの申し込みをしたら、『一緒にパイロもつけませんか?』と提案されまして、その時はまだ配合が決まっていなかったという理由だけでゴッドビラブドミーにつけたので、考えに考え抜いた配合ではないです(苦笑)」と芳住さん。
芳住さんの牧場は家族経営で、ミューチャリーが生まれた頃は繁殖牝馬8頭。芳住さんは2代目で、お父様から家業を継ぎ約10年、お父様の時代からも含めると約50年。牧場さんにとっても悲願のJpnⅠ制覇だったそうです。
「どこの牧場さんでも当たり前にしていることをしていますが、家族経営のため、大手の牧場さんのようなことはできません。あくまでも参考にしながら、馬のために良いと思えることは取り入れるように努力しています。 何より大切にしているのは、馬のことを第一に考えながら育てることです」。
ゴッドビラブドミーの子育ては、芳住さんたちも安心して任せているそうです。仔馬をとてもかわいがり、放牧地にいる時に仔馬が少しでも離れると、自らそばに寄っていき、仔馬に愛情をたっぷりと注いでいるそうです。
ミューチャリーの仔馬時代は大人して目立たなく印象には残っていないそうですが、怪我や病気などもなく順調に育ったとも言えるでしょう。
ゴッドビラブドミーも今年17歳。毎年仔馬を出産し、11頭の仔馬たちをこの世に送り出してきた子宝お母さんですが、今年初めて空胎だったとのこと。しかし、病気などはすることもなく、至って健康に過ごしているそうです。
現在は芳住さんの牧場にも取材が多く、ゴッドビラブドミーが写真を撮られる機会も増えてきたそうです。その時は放牧地で何気なく佇んでいる時でも、ポーズを決めることもあるのだとか?!「子供が大仕事をやってのけたのはわかっていないと思いますが、急に写真を撮られる機会が増えてきたので、不思議に感じているかもしれませんね(笑)」。
ゴッドビラブドミー、息子さんの偉大な勝利おめでとうございました!
高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。現在は南関東競馬を中心に取材活動中。
<掲載媒体>
・南関魂
・TCKホームページ
・楽天競馬
・WEBハロン
・馬事通信
・netkeiba.com
・ターファイトクラブ会報誌
・SPAT4ザ・ウィナーズ など