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レディスジョッキーズシリーズ盛岡

10年ぶり女性だけでの対戦
  4月デビューの新人2名が勝利

レディスジョッキーズシリーズ(LJS)が10年ぶりに帰ってきた。2016年3月のレディス&ヤングジョッキーズシリーズを経て、同年秋から20年まではレディスヴィクトリーラウンド(LVR)という形で、地元の男性騎手を交えて女性騎手戦が行われていたが、女性騎手のみでレースを行うLJSは福山競馬場で11年12月19日に行われて以来。

そのLJSで総合優勝した別府真衣騎手(高知)は12月1日付で調教師に転身するため、LJSは11月23日盛岡、27日高知のみの参戦になる。一方で、木之前葵騎手(愛知)は鎖骨骨折で療養中のため、盛岡と高知は欠場。肩を脱臼して休養中の中島良美騎手(浦和)や北島希望騎手(浦和)は不参加となった。

前日までは10度を超える暖かさだった盛岡市内も、この日は雨が降り続き、レースの時間帯は5度。濱尚美騎手(高知)が「寒くて、ゲート裏で待機中に手先と足先の感覚がだんだんなくなってきました」と話すように、ムチの持ち替えなどに苦労しそうなほどの冷え込みだった。

第1戦は今年4月にデビューした神尾香澄騎手(川崎)が単勝1.5倍で1番人気。騎乗するエリーグローリーは逃げて2連勝中で、スタートこそやや立ち遅れたものの、二の脚をつけて先手を取ると、直線でも勢い止まらず7馬身差で完勝した。その後ろ姿を見ながら悔しがったのは2着の深澤杏花騎手(笠松)。勝ち馬には昨年末、名古屋で騎乗経験があり、「私の知っているエリーグローリーなら、捕まえられると思ったんですが」と肩を落とした。

3着は盛岡初騎乗の濱騎手で、1200メートルでワンターンというのが新鮮だったようで「ハロン棒を見ながらどこから追い出すか考えていました」という。

第2戦も1番人気はルーキーの佐々木世麗騎手(兵庫)で、単勝1.1倍。盛岡の芝コースを一度乗ったことがあるだけのアウェーの地で、本命馬への騎乗というプレッシャーのかかりそうな状況ながら「勝てるチャンスが高くて、ラッキーと思いました」というメンタルの強さ。だからこそ、地方競馬における女性騎手の新人最多勝記録(デビューから1年)を今月10日に早々に塗り替えられたのだろう。

ところが、好スタートから逃げていた佐々木騎手が4コーナーでムチを落としてしまい、なんとかロスなく内を回ろうと試みるも、「馬が怖がって外に張ってしまいました」と、ちょっとしたアクシデント。すかさず2番手の濱騎手が直線で内に進路を取った。2名の一騎打ちは、ゴール直前、濱騎手が前に出たように見えたが、スローモーションでは佐々木騎手のホッコーフウガの頭がちょうど下がってハナだけ前に出たタイミングだった。

2着濱騎手はゴールの瞬間、「勝ったかも」と感じていただけに、「悔しい~っ!」と地団太を踏んだ。

3着は直線で脚を伸ばした関本玲花騎手(岩手)。騎手を目指して地方競馬教養センターに入りたいと願っていた頃、LVR盛岡ラウンドを生観戦し、「一緒に乗りたい!」と思いを強くしていた。19年10月にデビュー後はLVRが盛岡で行われることがなかったため、初めて地元で迎える女性騎手戦だった。さらにもう一つ、「(別府)真衣さんと一緒に乗りたかったんです。紹介セレモニーでそのことを考えたら、ウルッときちゃいました」という思いも抱えての参戦だった。

それを知った別府騎手は「嬉しいです。私は次の高知ラウンドで終わってしまいますが、なんとか見せ場をつくりたいです」と、この日は6着、5着に終わったが、挽回を誓った。

同じく巻き返しを狙うのは宮下瞳騎手(愛知)。今月18日に国内女性騎手で初の地方競馬通算1000勝を達成し、この日の紹介セレモニーではお祝いの花束が用意されたが、7着、4着。デビュー3年未満のジョッキーが5名というフレッシュな顔ぶれの中でママさんジョッキーの活躍が期待される。

LJS盛岡の2戦を終えて、ポイントトップは5着、1着の佐々木騎手で40ポイント。2位神尾騎手とは2ポイント差で、このあとの11月27日高知、来年2月18日名古屋の結果次第でどの騎手にもチャンスがありそうだ。

取材・文 大恵陽子

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 神尾香澄騎手(川崎)

勝ててよかったです。出遅れてしまいましたが、前に行った方が走る馬だと感じていたので、出して行きました。今日の馬場を気にする感じもなく、気持ちよく走ってくれて、すごくいい馬に乗せていただき感謝しています。残りの2ラウンドも結果を残したいです。

第2戦1着 佐々木世麗騎手(兵庫)

最後に遊ぶ面のある馬だと聞いていたので、ムチを落としたときは「マズい!」と思いました。内から濱騎手が来ているのも見えていて、最後まで一生懸命追って、馬が頑張ってくれました。総合1位で、素直に嬉しいです。女性騎手同士のレースで、楽しく乗ることができました。