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第17回笠松グランプリ

差し脚発揮し重賞連勝
  人気の遠征馬が上位独占

今年1月19日から開催自粛となった笠松競馬場。春のビッグレースであるオグリキャップ記念は実施されなかったが、秋の笠松グランプリは開催できることになった。実況担当の西田茂弘アナウンサーが「笠松グランプリが開催できることに感謝して」とレース前に発した言葉は、競馬関係者のみならず、来場した熱心なファンも共感できたフレーズだろう。

今年も1着賞金は1000万円だが、2着以下の賞金は昨年よりも増額された。現在の1着賞金になってからは、最初の2012年こそ地元笠松のエーシンクールディが制したが、それ以降は8年連続で遠征馬が勝利。今年も北海道、船橋、川崎、兵庫、高知から各1頭の実力馬が乗り込んできた。

そのなかで注目を集めたのは、森泰斗騎手とともに遠征してきたコパノフィーリング。この夏に習志野きらっとスプリントを圧勝したスピードタイプは、前走の兵庫ゴールドカップで初めてのコーナー4回の競馬を克服。単勝1.7倍という断然人気に支持された。

続く2番人気は前走で名古屋のゴールド争覇を制したダノングッドで4.6倍。こちらも多田羅誠也騎手とのコンビが継続された。3番人気のコウエイアンカも4番人気のアザワクも前走と同じ騎手。川崎のリュウノシンゲンこそ前走と違うが、山林堂信彦騎手は調教での騎乗経験が豊富にある。

ただしそれは、遠征馬の騎手はすべて、笠松競馬場に不慣れということになる。その状況からハイペースになる可能性も考えられたが、この日の笠松は第1レースから第5レースまで逃げた馬と2番手追走の2頭で決着する、前残りのコンディションになっていた。

そのあたりは各騎手の頭に入っていたことだろう。岐阜工業高校吹奏楽部の演奏によるファンファーレが場内に鳴り響き、ゲートが開くとすぐさま、大外枠からアザワクが持ち前のダッシュ力を披露して先頭に立った。

コパノフィーリングはその直後を追走し、ダノングッドは3番手。逆にコウエイアンカはスタート直後に前が狭くなる形になり、後方追走を余儀なくされた。

アザワクが作ったペースは前半600メートルが36秒0(稍重)で、昨年の優勝馬エイシンエンジョイが記録した35秒7(良)より遅かった。今年は昨年よりも砂が深く、全体的に時計がかかる状況になっている。3コーナー過ぎではアザワクとコパノフィーリングが並び、後続との差がすこし開いた。

しかしその直後、ダノングッドが再加速して一気に差を詰めてきた。最後の直線では粘り込みを図る2頭を横目に差し切り勝ち。2着はコパノフィーリング、3着にはアザワクが粘り込んだ。

その姿に別府真司調教師は「9歳でも元気。内臓面をケアしている効果もあるでしょうね」と笑顔。多田羅騎手も表彰式で大阪から来場した家族に笑顔を見せていた。

一方、後方から差を詰めてきたコウエイアンカは4着まで。前が残る傾向がある馬場は厳しかったが、それでも持ち味は十分に発揮した。その内容ならば、ハンデ戦の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIでも期待できそう。ちなみに勝ったダノングッドは、年明けに佐賀競馬場で行われるゴールドスプリントを目指す方針だそうだ。

取材・文 浅野靖典

写真 岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

多田羅誠也騎手

強いメンバーが揃いましたが、勝ててよかったです。ゴールド争覇と同じように、いい位置を取れたことが良かったと思います。反応するのにすこし時間がかかるタイプなので、勝負どころで遅れてしまいましたが、最後は伸びると信じて追いました。頑張ってくれた馬と乗せてくれた馬主さんに感謝したいです。

別府真司調教師

アザワクとコパノフィーリングが速いことは分かっていたので、その後ろからという指示を出しましたが、うまく乗ってくれましたね。名古屋のレース後もいい体調でしたし、輸送も問題ありませんでした。(レース後の)記念写真でも手こずるくらいですから、まだまだ頑張ってくれると思います。