JRAのみならず、門別や大井からも注目馬が集まった今年の兵庫ジュニアグランプリJpnII。プライルード（大井）は門別でデビューし、栄冠賞、イノセントカップと重賞で続けて2着から、大井に移籍しての初戦となった。ヒストリックノヴァ（大井）も移籍初戦で、こちらは前走エーデルワイス賞JpnIII・2着ののちJRAから移籍。

　一方でJRA勢はダート1400メートルで連勝中の馬が2頭。コンバスチョンはデビューから無敗で、セキフウはダート替わり2戦目から2連勝中とあって、この2頭が人気の中心となった。

　好スタートから押して先手を主張したのはエンリル（北海道）。豊富なスピードで金沢・兼六園ジュニアカップを逃げ切ったが、さらに外からダッシュをつけて逃げたのはバウチェイサー（兵庫）。その後ろにプライルード、セキフウ、エンリル、そしてコンバスチョンが5番手外と続いた。

　3～4コーナーでミルコ・デムーロ騎手がセキフウの馬上で腕を大きく動かす外をコンバスチョンがスッと上がっていくと、バウチェイサー、プライルードと4頭が固まって迎えた直線。粘り込みを図る前2頭の間を割って抜け出しを図ったのはセキフウだった。力強く伸びると、外から迫るコンバスチョンをクビ差しのいで勝った。

　2頭から3馬身離れた3着争いも接戦だったが、ゴール直前で前に出たプライルードが3着。吉村智洋騎手は「道中でハミが抜けて乗りやすかったです。内枠の方がよさそうで、脚を溜められればもっとキレると思います」と、将来性を感じたようだ。クビ差4着にバウチェイサー、5着にエンリルが粘った。

　勝ったセキフウは2016年高松宮記念GIを勝ち、種牡馬になったビッグアーサーの半弟。「3コーナーでは自分でやめてしまい、外から蓋をされて、その後に砂を被る形となりました。バテたわけではなく、そういった幼い面がまだありますが、ジョッキーが頑張ってくれて最後にまた伸びてきてくれました」と武幸四郎調教師。この日は7着ネフィリムも同厩舎だったほか、無敗でファンタジーステークスGIIIを制し、阪神ジュベナイルフィリーズGIで期待が寄せられるウォーターナビレラもいて、芝・ダートともに2歳馬が活躍している。「2歳馬には将来がありますし、2歳だけで終わらず頑張ってもらえるように長く馬を見ていきたいです」と話した。

　デムーロ騎手は「パドックで『ミルコ！』と応援してくれる声も聞こえて、ファンが温かくて感謝しています」と笑顔。園田競馬場のダートグレードは一昨年の兵庫ジュニアグランプリJpnIIをテイエムサウスダンで勝って以来の2勝目となった。

　このあとセキフウは、状態を見て問題がなければ12月15日に川崎競馬場で行われる全日本2歳優駿JpnIも視野に入れられる。