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第67回クイーン賞JpnIII

直線外に馬体を離して差し切る
  移籍初戦でダートグレード初制覇

今年で67回目を迎えた伝統の一戦、クイーン賞JpnIII。地方競馬の女王サルサディオーネが、連覇を目指して参戦してきた。

中央時代は重賞未勝利も、大井の堀千亜樹厩舎(小林分厩舎)に移籍すると、ここまでダートグレード4勝を含む重賞6勝。昨年はNARグランプリ4歳以上最優秀牝馬も獲得している。

テンのスピードが速くなってきたことは主戦の矢野貴之騎手も言っていて、それに伴い逃げるスタイルがさらに安定してきた。前走のJBCレディスクラシックJpnIは初めての金沢コースで物見がひどく10着に敗れたが、慣れた船橋コースでの信頼度は高く、今回はトップハンデ56.5キロでも、単勝2.7倍の1番人気に支持された。

以下、4倍台にリネンファッション、プリティーチャンス、ウェルドーンが続き、中央勢の人気は拮抗していた。

しかし、勝ったのは笹川翼騎手が初騎乗の6番人気ダイアナブライト。中央時代は芝・ダートで4勝を挙げ、重賞初挑戦だった前走のレディスプレリュードJpnIIは4着。その後、川崎・内田勝義厩舎の外厩馬としてミッドウェイファームでトレーニングを積み、移籍初戦で念願の初タイトルを獲得。牝馬ダート路線に新星が登場した。

予想通りサルサディオーネが先頭に立つと、1~2コーナーでは縦長の展開。リネンファッションが2番手で、デジマノハナ、エリザベスタワー、向正面に入るとウェルドーンも加わり、ダイアナブライトはそれらを見る形で6番手あたりを追走した。

3コーナー付近からサルサディオーネが引き離しにかかると、後続の騎手たちの手が激しく動く中、最内から抜群の手応えでダイアナブライトが進出。4コーナーではサルサディオーネに馬体を併せには行かず、直線では大きく外へ進路を取った。

サルサディオーネがそのまま逃げ切るかと思ったところ、ダイアナブライトは矢のような末脚を繰り出し、サルサディオーネをクビ差交わしたところがゴール。上り38秒4はメンバー最速で、1分51秒4(不良)の勝ちタイムは、昨年(稍重)のサルサディオーネと同じ。

「強い馬が3、4頭いるなと思っていたので、その馬たちを前に行かせて、欲を言えばその馬たちで競ってもらって、僕は虎視眈々と狙おうという騎乗を心がけて、今日はうまくはまりました。もちろん馬が頑張ってくれたのが一番です」(笹川騎手)

一方、サルサディオーネも負けて強しだった。勝ったダイアナブライトとの斤量差は3.5キロ。道中のマークも厳しくなったが、追走した馬たちは着外に沈み、差し馬が上位に台頭する展開で2着に粘り込んだ。

「守りに入って負けるのは嫌でしたが、もうひと呼吸我慢でしたね。最後は馬体が合っていればとも思いますが、それは笹川のファインプレイでしょう。斤量が重い中でも力がある所は見せてくれたし、この馬らしい競馬ができたと思います。馬は頑張ってくれました」(矢野騎手)。サルサディオーネも女王らしい走りだった。

取材・文 高橋華代子

写真 特別区競馬組合、国分智(いちかんぽ)

Comment

笹川翼騎手

一発狙っていたのでうれしいです。中央競馬時代のレースを見せていただいて、ある程度のイメージを働かせながら、考えていた通りには乗れました。実績のある馬たちを負かして初重賞(制覇)ということになって、名誉あることだと思います。馬も自信をつけてくれると思うので、これからに期待したいです。

内田勝義調教師

まだ毛づやも良くなかったし、正直もうちょっとかなと思いましたが、底力が違うのでしょうね。乗り方は笹川君にお任せでした。サルサディオーネはハナ行くと強いですが、ゴール前でよく替わりましたね。この後は東京シンデレラマイルやTCK女王盃などを視野に入れていくと思います。