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第22回チャンピオンズカップGI

直線突き抜け6馬身差圧勝
  カジノフォンテンは10着

チャンピオンズカップGIへの地方馬の出走は、ジャパンカップダートGIとして阪神競馬場で行われていた2008年のフリオーソ(7着)以来、船橋のカジノフォンテンはGI/JpnI・3勝目を賭けての参戦となった。

JRAの競馬場は、この12月の開催も指定席券等を事前予約抽選での入場。この日の中京競馬場はGI開催ゆえか、そうとは知らずに来場し、入場門の手前で係員の説明を受けるファンも少なくなかった。

運良く抽選に当選して来場したファンは3,368名。コロナ前2019年のチャンピオンズカップGI当日の入場が32,064名だったので、その約10分の1。それでもチャンピオンズカップGIのパドックになると周囲をぎっしりとファンが取り囲んだ。

注目となったのは、今年桜花賞GIを制し、古馬相手の札幌記念GIIも制した白毛のソダシ。おばに牝馬のダートグレードで3勝を挙げたユキチャンがいて、母のブチコも中央ダートで4勝、そして父がクロフネと、血統的にも期待されてのダート初参戦。昼過ぎまで単勝1番人気で推移していたが、最終的には、今年帝王賞JpnIを圧勝したテーオーケインズが3.3倍で1番人気。ソダシは4.5倍。このレース連覇のかかるチュウワウィザードが4.6倍で、3頭が人気を分け合った。

今年、川崎記念、かしわ記念で中央の一線級相手にJpnI・2勝を挙げているカジノフォンテンは、同じ左回りを期待しての参戦。単勝17.9倍は16頭立ての7番人気だった。

パドックからテンションが高かったダノンファラオがゲート内で立ち上がるなどして、ほかの馬たちはゲート内でスタートを待たされたが、全馬ほぼ互角のスタート。1番枠のソダシが主張しての逃げとなり、2番手にインティがつけた。カジノフォンテンはラチ沿い4、5番手。テーオーケインズはその直後を追走した。

1〜2コーナーを回るあたりで隊列がほぼ決まり、1000メートル通過が61秒4という平均ペース。カジノフォンテンは3〜4コーナーあたりまでは手応え十分に見えたが、4コーナーでムチが入って直線を向くと、ラチ沿いに進路は開けていたが、そこから伸びず。ソダシも一杯になり、代わって先頭に立ったのはインティだったが、馬群をさばいてこれをとらえたテーオーケインズが残り200メートルからあっという間に後続を置き去りにしての圧勝。4コーナーでもまだ中団馬群のうしろだったチュウワウィザードも直線外に持ち出してよく伸びたが、テーオーケインズははるか6馬身も前。好位から直線一旦は2番手だったアナザートゥルースが3/4馬身差で3着。カジノフォンテンは10着だった。

前走JBCクラシックJpnI(金沢)では出遅れもあって4着に敗れていたテーオーケインズだったが、帝王賞JpnIの直線で一気に突き抜けたレースぶりを再現するかのような抜群の瞬発力を発揮。4歳ながら現役ダート最強を思わせるパフォーマンスを見せた。

もともとスタートには課題があり、「前走では出遅れてしまったんですけど、最近ではそれもなくなってきて、使うごとに調教もしやすくなって成長もしていました。昨年夏以降、精神面がどんどん成長してきました」(高柳大輔調教師)ということでの、この1年の快進撃。「前走JBCで負けていたので、とりあえずこのレースを勝ちたいという気持ちでやってきたので、このあとのことは何も考えていません」とのことだった。

一方、残念ながら見せ場をつくれなかったカジノフォンテンだが、今回鞍上を託されたミルコ・デムーロ騎手は、他の騎手が最終レースの準備に向かうなか、パトロール映像をじっと見続けていた。「馬ごみがよくないね。映像を見たら、ずっと尻尾を上げて、耳を絞って、内にもたれたりとか、この馬の走りではなかった。自分のリズムで走れないとがんばれない」とのこと。

山下貴之調教師は、「ちょっとペースも速かったし、力負けでしょう。中京の1800メートルは流れがかなり特殊ですね」と残念そうな表情を見せた。次走は連覇のかかる川崎記念JpnIとなるようだ。

取材・文 斎藤修

写真 JRA、いちかんぽ(宮原政典、国分智)