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第21回兵庫ゴールドトロフィーJpnIII

ゴール前差し切り人気に応える
  地元イグナイターは粘るも3着

ハンデ戦がレースの面白味を引き出し、過去10年中9年で地方馬が3着以内に入る一方、未だかつて地方馬の優勝がない兵庫ゴールドトロフィーJpnIII。21回を迎えた今年、その期待がかけられたのが地元・兵庫所属のイグナイターだった。JRAでダート1600メートルの新馬戦を快勝して1戦したのち、大井に移籍して京浜盃2着など活躍。今年8月、兵庫に移籍すると11月には地方全国交流重賞の楠賞を制覇したのだった。そのレースぶりもさることながら、9月には園田ダート1400メートルを1分27秒4(稍重)という好時計で勝っており、過去の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIの勝ちタイムから、好勝負が期待された。

それはオッズにも表れ、単勝4.7倍の3番人気。しかし、レースはこれまでと違い、ダートグレードならではの厳しい展開となった。

リュウノシンゲン(川崎)が出走取消。好スタートから逃げたのはそのイグナイター。そこに外からヒロシゲゴールド(JRA)が来ると、ペースはさほど緩むことなく1コーナーを回った。さらに向正面半ばにさしかかると、この日は3番手に控えていたラプタス(JRA)が追い出しを開始。徐々に前へと迫ると、それに応戦する形でイグナイターも加速し、3~4コーナーでは2頭が後続を引き離した。それを冷静に見ていたのがテイエムサウスダン(JRA)。かつての園田・姫路リーディングで、このレース最多の4勝を挙げる岩田康誠騎手の鼓舞に応えて外から一歩ずつ近づくと、ゴール手前で2頭を交わして勝った。

2着ラプタスの幸英明騎手は「最後に捕まえたと思いましたが、外から来られました」と肩を落とした。しかし続けて「この馬の走りはできました」ということに加え、これまでの重賞4勝はいずれも逃げ切りだったのが、今回は外枠ということもあってか3番手に控えての走りで、先々へ向けてレースの幅が広がった。

地元の期待を背負ったイグナイターは3着。ハンデ52キロということで鞍上に抜擢された笹田知宏騎手は「うまくハナに行けたと思いましたが、2番手の馬に来られた分、1コーナーでハミを取ったことが最後に影響したかもしれません。3コーナーで早めに後ろから来られたことでも苦しくなりました」と悔やんだ。

勝ったテイエムサウスダンはこれでダートグレード4勝目。同馬に4回目の騎乗となった岩田騎手は「パワーとスピードを兼ね備え、馬体も素晴らしい馬です。僕が調教に乗らせてもらっているので、責任を重く受け止めて、ワンランク上の走りを見せられればと思います」と話した。

取材・文 大恵陽子

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

岩田康誠騎手

58キロでしたが状態がすごく良く、スタートも決まって、負けられない気持ちで挑みました。3コーナーで外に切り替えて上がって行こうと思いましたが、前の2頭が予想以上に加速して置いていかれた分、そのままラチ沿いを進み、もう一度外に出しました。ハードなレースでしたが、期待に応えてくれました。

飯田雄三調教師

3歳時は成績が振るわず早熟かとも思いましたが、4歳になりどんどん力をつけ、騎手も「もっと成長する」と話しています。ずっと使っていても体が太いと感じていましたが、このくらいの体でも結果を残しますし、騎手とも合っていると思います。次走は未定ですが、JRAの舞台でも結果を残せたらと思います。