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第67回東京大賞典GI

断然人気にこたえて4連覇達成
  1日の売上は地方初の100億円超

昨年は抽選をくぐりぬけた954名だけが現地で観戦できた東京大賞典GI。

今年も同じく抽選だったが3566名が入場できた。4万7614名を集めた2年前には遠く及ばないが、長らく閉鎖されていた4コーナー寄りのスタンドの1階にある売店が復活営業。久しぶりの味を求めて、たくさんの人が訪問していた。

今年の出走メンバーは15頭。このレースの4連覇を目指すオメガパフュームが、単勝1.8倍の支持を集めた。続いて、今年のJBCクラシックJpnIを制したミューチャリーが5.6倍。6月の帝王賞JpnIで3着に健闘したクリンチャーが5.7倍と続いた。

そしてファンファーレの演奏が終わると大きな拍手。各馬が1周目のゴール板を通過するときにも大きな拍手が贈られた。

先手を取ったのはキャッスルトップ。ゲート入りには時間を要したが、スタートダッシュは速かった。そのスピードは、昨年の前半600メートルより2秒6も速い35秒2。そのため1~2コーナーでの隊列は縦長になった。

2番手にはアナザートゥルース、3番手はクリンチャーが続く形。しかしキャッスルトップは3コーナー手前で失速してしまった。

先頭に立たされたアナザートゥルースにとって、予期せぬ展開だったことだろう。内ラチ沿いを進んで粘り込みを図ったが、4番手を進んでいたミューチャリーが追い上げて、3コーナーからは並ぶ位置取りに。中団を進んでいたオメガパフュームは向正面の中間点付近から外を回って追い上げて、4コーナーでミューチャリーを射程圏に入れた。

そこで観衆から大きな声が上がった。4コーナーを回り終えるところでミューチャリーが外にふくらんでしまい、オメガパフュームも馬場の中央付近まで飛ばされる形になってしまったのだ。

そこでポッカリと空いたインコースを突いたのがクリンチャー。残り200メートル付近で先頭に立った。しかし体勢を整え直したオメガパフュームが再び伸びて、残り100メートルで併走。そして鞍上のミルコ・デムーロ騎手はゴール直前で勝利を確信。半馬身差ではあったが、おなじみのポーズでゴールを迎えた。

2着のクリンチャーは、惜しいところで金星を逃した形。それでも川田将雅騎手は「前回よりも状態がよかったですし、7歳でもよく頑張ってくれています」と納得の様子。宮本博調教師も「ここ2戦が不甲斐なかったので、今回は意図的にマイナス体重にしました(マイナス15キロ)。この結果なら現役を続けられますね」と、ホッとした様子。今後は佐賀記念JpnIIIの連覇を視野に入れるとのことだ。

4コーナーをうまく回れなかったミューチャリーは、いったんは6番手あたりまで下がったが、残り300メートル付近から再加速して3番手に上がった。しかしそこに急襲してきたのがウェスタールンド。その3着争いは場内テレビのスローVTRでもわからないほどの差になった。

ウェスタールンドを管理する佐々木晶三調教師が検量室前で「長いな」というほどの写真判定は、ウェスタールンドが3着。「今年はイチかバチかという気持ちで、自分の競馬に徹するつもりでした」と話した藤岡佑介騎手と、2年連続の3着を喜び合っていた。

ミューチャリーは今年の帝王賞JpnIに続く4着。大井競馬場でのダートグレードでは5回とも5着以内に入っているが、連対がないのもまた事実。御神本訓史騎手は「思っていたよりも馬が前に進んでいってしまいました」と悔やんだが、「乗りかたひとつだと思います」とも話していた。ミューチャリーは現役を続行する予定。新しい年は善戦以上を期待したいところだ。

今年の東京大賞典GIの日は、かつてに比べると1割程度の入場者数。それでも全国的な盛り上がりがあったようで、レース単体の売得金額は69億5320万8900円のレコード。そしてこの日の大井競馬は1日の売得金額が104億4805万4290円(SPAT4LOTOを含む)と、地方競馬史上で初めてとなる100億円超えを達成。地方競馬への注目度が高まっていると感じさせる1日になった。

取材・文 浅野靖典

写真 いちかんぽ(早川範雄、岡田友貴)

Comment

M.デムーロ騎手

年齢とともに最初の動きが鈍くなっているのでスタート前は緊張しましたが、今回はスタートをうまく出てくれました。でも向正面ではいつもの動きになりましたし、最後の伸びもすばらしかったですが、最後の直線は本当に長かったです。僕のことを信じて乗せ続けてくれた馬主さんに感謝しています。

安田翔伍調教師

4連覇に携われたことを感謝したいです。課題と思っていた気持ちのオンとオフ、まだつかみきれないところがありましたが、(今年の)帝王賞より気持ちを乗せられたと思います。久々に活気ある仕草を見せてくれていて、逆にそれが出過ぎないようにと思っていましたが、うまく走ってくれたと思います。