web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第15回東京シンデレラマイル

2番手から直線抜け出し完勝
  最重量57キロでも連覇達成

東京シンデレラマイルは今年も充実のフルゲート。今年で15回目だが、過去にフルゲートにならなかったのは4回。しかもそのうち2回は出走取消や競走除外によるもので、出馬投票の段階でのフルゲート割れはわずかに2回。それも1頭だけ欠ける15頭立てだった。牝馬のダートグレード競走は南関東に集中していることもあり、近年の牝馬戦線の充実ぶりがこのレースの出走馬を見てもわかる。16頭中7頭が重賞勝ち馬というメンバーが揃った。

格付、馬齢、重賞勝ちによる別定戦ゆえ上下5キロの負担重量差がつき、B1級ながらトライアルを4馬身差で圧勝した3歳馬ミラバーグマンが単勝2.9倍で1番人気。このレース連覇のかかかるダノンレジーナはもっとも重い57kgでも3.2倍で2番人気。中央から大井への転入初戦となるメモリーコウが続き、今年の牝馬二冠を制したケラススヴィアはここ2戦の成績が冴えず離れた4番人気だった。

それでもやはりハナをとったのは、逃げて自分の形に持ち込みたいケラススヴィアで、抜群のダッシュを見せた。

しかし好スタートからぴたりと2番手につけたダノンレジーナが4コーナーで前をとらえにかかると、直線では後続を振り切っての快勝。昨年より1キロ重い、今回のメンバーでは最重量の別定重量ながら連覇を達成。昨年のJBCレディスクラシックJpnI(大井)、今年のエンプレス杯JpnIIでともに4着と、ダートグレードでも上位争いの底力を見せた。5月にはしらさぎ賞(浦和)も制しており、これで牝馬重賞3勝目。6歳となる2022年は、あらためてダートグレードのタイトルが期待されるところ。

4コーナー6番手から真島大輔騎手が渾身の追い込みを見せたのがメモリーコウ。それでもダノンレジーナには1馬身1/4差及ばず。これまでも中団から直線脚を使って前に迫るも2着3着というレースがたびたびあり、中央でオープンに昇級して以降は、これで2着4回、3着5回。能力の高さは認めながらも、もどかしいレースが続いている。

ここ2戦の惨敗が心配されたケラススヴィアだが、古馬初対戦ながら3着に粘った。11番枠からのスタートでも1コーナーに入る前にハナを取りきったことで、すぐにラップを落とした。1コーナーを最後方で回ったカイカセンゲンが向正面で一気に位置取りを上げてきたが、行ききるまでには至らず、そこでペースが上がらなかったのはこの馬の助けになったと思われる。あらためて4歳になっての活躍に期待だ。

人気のミラバーグマンは、6番手あたりから4コーナーでは勝ち馬の直後にとりついたものの、直線では食い下がることができず4着。今回が地元大井での重賞初挑戦だっただけに、一線級相手の経験は次に生かされるはずだ。

取材・文 斎藤修

写真 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

本橋孝太騎手

最近は一列うしろで競馬をしてたんですけど、今日は強気で行きました。同厩舎の馬(ケラススヴィア)が逃げていたので、ペースが速くならない程度に、折り合い重視で考えていました。牝馬で57キロはしんどいと思うんですけど、最後までバテずに走りきってくれたので、すごい馬だなとあらためて思いました。

小久保智調教師

前回までのレースでいろいろ反省点があったので、ジョッキーとも話してまったく違うレースができたかなと思います。年もとってきていますし、気負っていたのは人間だけだったのかなというくらい馬は落ち着いていました。年齢的にも来年は集大成かなと思うので、交流レースにも行きたいと思っています。