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第25回TCK女王盃JpnIII

末脚発揮し着差以上の強さ
  JpnI馬が年明け初戦を飾る

テオレーマがJBCレディスクラシックJpnI制覇後の初のレースを迎えた。管理する石坂公一調教師は「レース前はすごくプレッシャーを感じていました」と胸中を吐露したが、GI/JpnI馬を管理するということは、それだけ責任が重くのしかかり、相当な精神力が必要とされるのだろう。そんな石坂調教師を笑顔にしたのは、川田将雅騎手の冷静さと、テオレーマの豪脚。JpnI馬の貫録を見せ、2022年の初戦を勝利で飾った。

好ダッシュを見せた浦和のケラススヴィアが逃げ、その外に同厩舎のダノンレジーナがつけてレースは幕を開けた。前半の3ハロンは38秒4で、このクラスの1800メートルとしてはスローペース。馬群はひと固まりのまま3コーナーを迎え、差し馬には不利な流れと見えた。

しかし、結果的には“スローの瞬発力勝負”。この日の大井競馬場の馬場は、やや軽かったこともあって、鋭い切れがあるJRA勢に有利なかたちとなった。なかでも、テオレーマは後半3ハロン37秒0の末脚を繰り出し、直線の半ばで先頭をうかがう勢い。内からダートグレード初挑戦のショウナンナデシコも伸びたが、叩き合いの末にこれをクビ差で退け、3度目の重賞制覇を果たした。

着差こそわずかだったが、川田騎手が「着差以上に余裕がありました」と話したように、貫録の勝利。「これから1年間、いろいろな場所に出向いて戦うことになると思いますので、またこの馬を応援してもらえたらと思います」と、全国での活躍に期待を寄せた。

ショウナンナデシコも3ハロン37秒4の末脚を見せたが、テオレーマには及ばなかった。吉田隼人騎手は「勝ち馬が思ったよりも早く来たし、並んだところで脚も止まってしまった。でも、牝馬同士ならやれることを示すことができた」と一定の評価。重賞初挑戦で女王に迫っただけに、今後の展望が大きく開けたかたち。牝馬のダートグレード路線を盛り上げる存在となりそうだ。

地方のダートグレードは初参戦のブランクチェックが3着。後方から0秒4差まで押し上げる内容で、戸崎圭太騎手は「ペースが落ち着いてしまい、追い出しも待たされる感じになってしまいました。でも、最後はよく伸びてくれましたね」とパートナーをねぎらった。今後も流れ次第で勝機も巡ってくるに違いない。

大井のメモリーコウが5着で、地方勢の最先着。JRA在籍時にダートグレードで好走を続けてきたが、明け7歳でも衰えがないことを示した。矢野貴之騎手も「ペースが遅かったし、内枠もあって動くに動けないところに入ってしまった。でも、展開が向けばやれる」と、悔しさのなかに今後への期待ものぞかせた。地元重賞のみならず、悲願の交流タイトル獲得のチャンスも十分にある。

取材・文 大貫師男

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

川田将雅騎手

ゲートを上手に出てくれて、気分良く走ってくれていたと思います。いい雰囲気で直線を迎えられましたし、前を捕まえにいくというよりは、促していくごとに前との距離が詰まったという感じでした。無事に今年の初戦を終えられて何よりです。またこの馬を応援してもらえたらと思います。

石坂公一調教師

JpnI馬となって初めての一戦で、すごくプレッシャーがありましたが、川田騎手がいつも通りに冷静に乗ってくれたと思います。冬場がいい馬で、今回は安心して調整できたので、無事に本番を迎えることができました。今後はいろいろなプランがありますが、馬をよく見てから決めたいと思います。