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第71回川崎記念JpnI

断然人気に応え4つめのジーワン制覇
  船橋エルデュクラージュが2着に健闘

今年で71回目を迎えた伝統の一戦、川崎記念JpnI。今年もダート界の猛者たちが集結したが、主役はGI/JpnI・3勝のチュウワウィザードだった。

一昨年の優勝時以来の手綱だった川田将雅騎手は、「久しぶりに乗りましたが相変わらず元気いっぱいでしたし、本当にいい状態で今日を迎えてくれているなと思いました。(2年前の川崎記念で)馬としては完成されていましたので、その高いレベルを維持し続けているなという感触を得ることができました」

レースは予想通りサルサディオーネがダッシュよく先頭に立っていくと、すかさず2番手にはカジノフォンテン。中央から移籍3戦目のエルデュクラージュが3番手につけ、チュウワウィザードは中団から徐々にポジションを上げていき、それを見る形で、ヴェルテックスやタービランスらが続いていった。

「前半から窮屈な形にはなったので、そこからどう競馬を組み立てて行こうかというところでしたが、馬自身はとてもリズム良く走ってくれていたので、あとは僕が他の馬の動きの中でさばいていけたと思いました」

勝負所まで隊列はほぼ変わらなかったが、サルサディオーネが3コーナー付近で後退。カジノフォンテンにエルデュクラージュが並びかけたが、チュウワウィザードがつかまえにいくと、最後の直線では一気に先頭に立ち、あとは独走。「年齢的なものもあり多少のズブさは出てきてはいますが、それでもしっかり反応してくれて、動き出してからはもう大丈夫だという雰囲気になりました」。2着のエルデュクラージュに4馬身差をつけ、3着がアタマ差まで詰め寄ったヴェルテックス。勝ちタイムは2分14秒9(良)。

なお、タービランスは4コーナー付近でヴェルテックスの斜行の影響を受け落馬、競走中止となった。

チュウワウィザードは今年7歳。一昨年の覇者で、川崎記念JpnIにはそれ以来の参戦。昨年の前半は海外挑戦に力を注ぎ、ドバイワールドカップGIでは2着になるなど世界でも通用する走りを見せたが、それ以降の国内戦では高いレベルで走りながらも勝ち切れないレースが続いた。しかし、この馬への信頼度はもちろん高く、この川崎記念JpnIは単勝1.2倍の断然人気に推され、その強さを存分に見せつけた。

チュウワウィザードはこの後、ドバイワールドカップGIへの挑戦を表明している。昨年の忘れ物を取りに、悲願を達成してきて欲しいと思う。

地方馬最先着が2着のエルデュクラージュ。中央時代はリステッド競走のブリリアントステークスを勝ち、ダイオライト記念JpnIIで2着に入ったこともある実力馬だが、タイトルまではもう一歩。前走の報知オールスターカップで、今は南関東所属として走っているノーヴァレンダの2着に敗れたが、この川崎記念JpnIでは最後の直線でチュウワウィザードに食い下がる見せ場もあり、明け8歳とはいえ引き続きダートグレードでも楽しみだ。「道中は手応えよく行けて乾いた馬場も合っています。今後もチャンスがありそうです」とコンビを組んだ本田正重騎手も振り返っていた。

一方、昨年の覇者カジノフォンテンは5着だった。「ずっと1600メートルの手応えで走っていて掛かり過ぎました。仕上がりも良かっただけに、2100メートルの番手競馬はちょっと難しかったです」と、とても悔しそうな張田昂騎手。昨年はJpnIを2勝しながら、NARグランプリ年度代表馬の座はミューチャリーに譲ったが、史上初の地方馬によるダートグレード競走特別賞を受賞。巻き返しを期待したい。

取材・文 高橋華代子

写真 築田純(いちかんぽ)

Comment

川田将雅騎手

2年前ここでチュウワウィザードとともに勝たせていただきドバイへ行く予定でしたが、コロナの影響から中止に。その後は僕の都合で乗ることができず、またこうして手綱を任せてもらいました。今年こそという思いでこの後はドバイへ行ってきますので、日本で応援してもらえたらなと思います。

大久保龍志調教師

馬の方もここは得意というのと、川田君もベテランの円熟味を出してくれているので安心して見ていました。この馬は走ることに対しての真面目さがいいところだと思っています。ここを勝ってドバイというのは青写真で、まずは川崎記念を獲れましたので、胸を張ってドバイへ行きたいです。