地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップが2年ぶりに帰ってきた。ここ2年は新型コロナウイルスの影響で様々なイベントや騎手交流戦の中止が相次ぎ、当シリーズ優勝者が地方競馬代表候補騎手に選ばれるワールドオールスタージョッキーズ（WASJ）も2年連続で中止。地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップも前回の2020年は開催時期を10月にズラし盛岡競馬1場・2競走のみの実施で、優勝者にWASJへの切符はなかった。

しかし、ようやく情勢が落ち着いてきたようで、今年はWASJが開催される予定とあって、2回目の出場となる石川倭騎手（北海道）は「優勝して芝のレースに乗りたいです」と、JRA札幌競馬場へ思いを馳せた。スーパージョッキーズトライアル（SJT）時代を含めすでに2回の優勝経験がある赤岡修次騎手（高知）は「まずはここでポイントを稼いで5位以内でファイナルステージに行きたいです」と、騎手交流戦の戦い方を熟知。対して初出場の藤原幹生騎手（笠松）は「競馬場に来るまでがスムーズに行かなかったので、レースはスムーズに運びたいです」と、初の佐賀競馬場で意気込みを話した。

第1戦はC2クラスの1750メートル。過半数の馬が距離未経験、または「少し長い」という陣営コメントが出ており、そこが大きなポイントとなった。

それはレースぶりにもハッキリと表れた。先手を取ったのは吉村智洋騎手（兵庫）。騎乗馬は1300メートル戦でも掛かり気味とあってグッと手綱を抑え、他の先行馬たち同様になるべく距離をもたせようとしているのが伝わってきたが、1周目4コーナーで村上忍騎手（岩手）が「行きたがって」と、内から先頭に立った。

さらに向正面では「我慢しようと思いましたが、ペースも遅くて余計にハミを噛んでいたので」と、我慢しきれなくなった赤岡騎手が進出する。しかし4コーナーで手応えが一杯になり、直線は村上騎手と吉村騎手のバテ比べ。距離不安がありながらも、なんとか粘り通した村上騎手とアルファラインが1馬身差で勝ち、3着に赤岡騎手。4～7着は中団以降で運んだ馬で、騎手交流戦で好成績を収めてきた4着・山口勲騎手（佐賀）は「ポイントを稼げて、次につながるレースはできました」とニヤリ。5着・青柳正義騎手（金沢）は「中団からゆっくり構えていこうという指示でした」と作戦がフィットした。

第2戦は先ほどとは対照的に逃げ・先行馬が揃った1400メートル。内から山口騎手が逃げるところに赤岡騎手、岡部誠騎手（愛知）、そして初出場の秋元耕成騎手（浦和）が並びかけた。最初のコーナーを回るところで控えざるを得なくなったのは岡部騎手とプロデューサーだったが冷静に運び、4コーナーで先頭に立って勝利。2着には後方2番手で大外から追い込んできた石川騎手で、門別競馬場のオフシーズンとなる20年11月から2カ月半、当地で期間限定騎乗を行い34勝を挙げた活躍を思い起こさせた。3着は先行した秋元騎手、4着は山口騎手で「序盤のペースがきつかったです」と話し、5着には森泰斗騎手（船橋）が末脚を伸ばした。

なお、村上騎手はスタートの瞬間、ゲートに大きくぶつかり、左の鐙革が切れてしまった。それゆえ11着に沈んだが、左半身の支えを失った状態で落馬せずにゴールしたのは体幹の強さゆえだろう。

2戦の結果、ファーストステージ1位は7着、1着で36ポイントの岡部騎手。08年SJTの総合2位を上回る成績に向けて好発進となった。2位は1着、11着で31ポイントで、前回覇者の村上騎手、3位に2着、7着の吉村騎手となった。

例年であればチャレンジステージ上位2名を加えた14名でファーストステージを行うため、ここで下位2名は足切りされていたが、今年はチャレンジステージの実施がないため、参加者全員が5月31日に浦和競馬場で行われるファイナルステージに進む。