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第26回さきたま杯JpnII

直線粘り腰発揮し差し返す
  女王が1400mでもDG制覇

ダートグレードの短距離路線においては、小回り1400メートルをこなせるか否かで路線選択の幅が大きく異なる。東京スプリントJpnIIIを勝ったシャマルは、これまでの8戦全てがダート1200メートル。重賞6勝を誇る大井のサルサディオーネは、主に中距離で実績を残してきた。これらがヘリオスやサクセスエナジー、浦和のティーズダンクといった1400メートル巧者と対峙。別路線で実績を残してきた馬のレースぶりが、今後の短距離路線を占うことになる。

スタートに磨きがかかってきたサルサディオーネが、短距離のメンバーでも先手を奪い切る。シャマルとサクセスエナジーが続き、その後ろにヘリオス、ティーズダンク、川崎のルーチェドーロがつけた。

3コーナーで早くもサルサディオーネ鞍上の矢野貴之騎手の手が動きはじめ、その外からシャマルが並びかける。手応えの違いは歴然で、直線の半ばでシャマルが前に出たところで勝負が決したかと思われた。しかし、サルサディオーネが驚異の粘り腰で差し返すと、外を伸びたティーズダンクの追撃も封じて勝利。昨年の日本テレビ盃に続く2度目のJpnII制覇を飾った。

振り返れば、前2走の勝ち馬ショウナンナデシコは、のちにかしわ記念JpnIを勝利。特に前走で別定58キロを背負いながら2着に踏ん張ったことを考えれば、このパフォーマンスにも納得だ。「なによりも馬がよく踏ん張ってくれたなと思います。頭が下がる思いですね」と矢野貴之騎手が話せば、管理する堀千亜樹調教師も「最高のパフォーマンスを見せてくれました。馬に感謝です」と最敬礼。まさに“女傑の走り”だった。

ただ、自分の形に持ち込むまで苦労したこと、早めに鞍上の手が動いたレースぶりを見ると、小回り1400メートルはさすがに忙しい印象。次走予定のスパーキングレディーカップJpnIIIや、今年のJBCレディスクラシックJpnI(盛岡1800メートル)などで、さらなるパフォーマンスを発揮するに違いない。

2着は地元・浦和のティーズダンク。ゴール前での脚いろは完全に勝ち馬を上回っていたが、アタマ差だけ届かなかった。「惜しかったですね。直線でもしっかり反応してくれたけど、相手もしぶとかった」と和田譲治騎手。昨年のテレ玉杯オーバルスプリントJpnIIIで2着に食い込んでいるように、ダートグレードでも力は互角。さらに浦和1400メートルは、今回を含めて5戦全てで連対と、抜群の相性を示している。今後もチャンスが巡ってくるだろう。

直線でいったん先頭に立ったシャマルは、ゴール前でこらえきれず3着。川須栄彦騎手は「勝った馬がしぶとかったですね。ただ、初めての1400メートルでもリズム良く運ぶことができたし、この条件でしっかり走ってくれたことは評価したい」と好感触を口にした。小回りの1周競馬は初めてだけに、十分にめどが立ったと言える内容。今後は1200メートルにとどまらず、各地の1400メートル戦でも主役級の走りを見せてくれそうだ。

取材・文 大貫師男

写真 宮原政典(いちかんぽ)

Comment

矢野貴之騎手

1600メートルでも少し忙しいというイメージがあったし、(小回りの)浦和ということもあったので、張り切って行かないとな、という気持ちでした。ためて逃げていいタイプではないので、気分良く走らせて、少し速めでもいいかなと思っていました。最後に差し返してくれた根性に頭が下がります。

堀千亜樹調教師

斤量を背負わないレースを、ということで、ここもスケジュールに入れていました。初めての1400メートル、初コースも気にするので、どうかと思っていましたが、最高のパフォーマンスを見せてくれました。体調の波もなく、安定して走ってくれています。秋にはまたJBCに挑戦したいと思っています。