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第26回北海道スプリントカップJpnIII

帰国初戦を落合騎手で快勝
  JBCで短距離の頂点を狙う

門別競馬場で今シーズン最初のダートグレード競走には、5月の連休を除く平日としてはかなり多い1,222名の入場があった。前日のさきたま杯JpnIIもそうだったが、日本ダービー6勝目を挙げたばかりの武豊騎手が来場する影響は大きく、パドックや本場馬入場を見ているファンからは、武騎手についての話があちこちから聞こえてきた。

単勝オッズではリュウノユキナとダンシングプリンスが2.2倍で並んだが、票数の差で上回ったのは前者。しかしながら注目は、サウジアラビア遠征を圧勝しての帰国初戦となったダンシングプリンスだろう。ただ最近の門別コースは内の砂が厚く、この日もラチ沿い1、2頭分空けてレースが展開。そうした状況で、地元の快速馬アザワクが4番枠にいて、1番枠に入ったダンシングプリンスがどうレースを進めるのか。

果たして、ゲートを出たのはアザワクが速かったが、ダンシングプリンスが抜群のダッシュを見せた。アザワクはいつもの行きっぷりになく徐々に位置取りを下げ、昨年の1、2着馬、ヒロシゲゴールド、リュウノユキナがダンシングプリンスを追った。そこに4コーナーでまだ離れた5番手だったスマートダンディーが一気に迫ってのゴール前、中央4頭の争いは、ダンシングプリンスが振り切っての勝利となった。

ダートのオープン特別2連勝で臨んだスマートダンディは惜しくもクビ差まで。「伸び続けてくれたんだけど、前が止まらなかった」と、8歳での重賞初勝利を逃した秋山真一郎騎手は悔しそうな表情。ここまで全10勝のうち9勝をダート1400メートルで挙げているが、「現状では1200メートルのほうがよさそう」とのことだった。

ダート1200メートルでは11戦連続で連対を続けていたリュウノユキナは2着から1馬身差で3着。連覇を狙ったヒロシゲゴールドはさらに1馬身差で4着。中央4頭が上位を占め、地方最先着の5着は地元のスティールペガサスだが、勝ち馬から0秒8差なら好走といえるだろう。

ダンシングプリンスを勝利に導いた殊勲の鞍上は、地元北海道の落合玄太騎手。同馬が3歳未勝利を勝ち上がれず船橋に在籍していた2020年1月、南関東で期間限定騎乗中だった落合騎手で勝利経験があっての起用。アザワクのハナを叩くと、すぐに砂の深くない外目に持ち出して逃げ切るという、コースと相手を熟知しての好騎乗。落合騎手には、一昨年のメイショウアイアンに続いてこのレース2度目の勝利となった。

ダンシングプリンスは脚部不安での休養などもあり、6歳でもこれがキャリア15戦目。次走予定のクラスターカップJpnIII(盛岡)から、同舞台のJBCスプリントJpnIが目標になるという。ダート短距離路線の層がまた厚みを増した印象だ。

取材・文 斎藤修

写真 浅野一行(いちかんぽ)

Comment

落合玄太騎手

馬が強いのはわかっていましたが、プレッシャーも感じていたのでほっとしてます。(スタートは)上手に出てくれて、けっこうハイペースで行ってしまったと思うので、最後まで頑張ってくれと思いながら乗っていました。最後までがむしゃらに乗っていたので、ゴール板を切ってから勝利を確信しました。

宮田敬介調教師

サウジで結果を出した馬ですし、今回はいい時と比べるともうひとつの状況でしたが、まずは結果を出せてほっとしています。控えてもいいという話をしていましたが、二の脚が速い馬なので、無理せずスピードの違いで先頭に立った感じで、向正面でうまく外目に出して運べたのが勝因かと思います。