岩手競馬では昨年度から盛岡開催を6月下旬から11月中旬まで連続して行い、水沢開催は3月の開幕から6月中旬までと11月下旬以降の実施。この開催日程の変更にともない、第1回から盛岡ダート1000メートルで争われてきた早池峰スーパースプリントは、昨年から水沢850メートルが舞台となっている。

その昨年の覇者キラットダイヤが休み明けを1戦叩かれての出走で単勝1.3倍の断然人気。一昨年盛岡の覇者で昨年3着だったコンサートドーレも冬休み明けを2戦使われ、調子を上げて2番人気。ともに岩手転入後の短距離戦での実績に加え、重賞勝ちの経験があるのはこの2頭だけ。同厩舎・同馬主の2頭が馬連複で1.3倍という圧倒的な支持を集めた。

全馬がほぼ互角のスタートを切ると、ダッシュが速いコンサートドーレが一瞬先頭に立ちかけた。しかし勢いがついてからのスピードはキラットダイヤのほうが上。コンサートドーレよりひとつ内枠でもあり、キラットダイヤがハナをとりきった。5カ月半の休み明けだった前走（栗駒賞）は「まったく進んでくれなかった」（鈴木祐騎手）ことで、コンサートドーレの2番手からという選択肢もあったようだが、そこを使われたことで今回は本来のスピードを見せた。

3コーナーあたりでコンサートドーレは2馬身ほど離れての追走。4頭ほどが固まった3番手集団は徐々に差が広がり、このあたりで人気2頭が勝負をつけた。

直線を向いて、キラットダイヤの鈴木騎手は後続の脚色を確認すると、あとは軽く気合をつけただけ。あっという間にコンサートドーレとの差を広げると、直線半ばからは流すような感じで7馬身差をつけ圧勝。さらに4馬身離れての3着争いは8番人気のアークオブメジャーが先着した。

キラットダイヤの勝ちタイムは、稍重ということもあり、昨年よりコンマ4秒速い49秒6。コースレコードにもコンマ5秒差と迫る好タイムでの連覇となった。

昨年このレースで重賞初制覇を果たしたキラットダイヤは、夏から秋にかけては盛岡1200メートルの重賞で、いずれも2着に1秒以上の差をつける圧倒的なスピードで3連勝。2021年度岩手競馬の最優秀短距離馬に選出された。2着に敗れた前走栗駒賞より調子を上げていたとはいえ、「まだ昨年の秋ほどではない」と、鈴木騎手、板垣吉則調教師、ともに口を揃えた。

「大事に使ってくれるオーナーさんなので、今年も狙ったところをしっかり獲りに行くことになると思います」（板垣調教師）という次走は、昨年と同じ7月3日の岩鷲賞（盛岡ダート1200メートル）で、僚馬コンサートドーレとの再戦となるようだ。

なお、板垣調教師はこのレース3連覇で、今年までの7回で4勝目とした。