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第52回東海ダービー

断然人気に応え押し切る
  全国区での活躍にも期待

2016年以降の過去6年、東海ダービーは東海3歳三冠のひとつめである駿蹄賞を制した馬が5勝、2着1回と好成績を残している。今年は新しくできた競馬場に舞台が変わり、駿蹄賞と東海ダービーが同じ2000メートルで実施されることになった。となれば、駿蹄賞で2着に2秒0もの差をつけたタニノタビトが単勝1.2倍という数字になるのは当然だろう。

ただ、駿蹄賞で大差をつけられたイイネイイネイイネも6.6倍と、ある程度の支持を獲得。続いて、別路線から臨むリンクスターツが“ダービー4勝”の今井貴大騎手の手綱ということもあってか、7.9倍と続いた。

この日の馬場状態の発表は重でも、前半戦から逃げ先行タイプが粘るケースが少ない結果。外枠の人気薄がよく上位に入り、10万円を超える3連単の配当が3回も出ていた。

そのコンディションのなかで先手を取ったのは、駿蹄賞で5着だったレイジーウォリアー。駿蹄賞で逃げて9着に大敗したパピタが2番手につけた。タニノタビトはパドックで気負う様子を見せていたが「ここ数戦に比べるとずいぶんとマシ」(角田輝也調教師)とのことで、4番手あたりで折り合いがついている様子。イイネイイネイイネは1周目の3コーナーで先行集団の直後だったが、ホームストレッチからはタニノタビトをマークする位置につけ、その直後にリンクスターツが続いた。

1コーナーあたりでは先行集団が横に大きく広がる形。その流れは遅かったが、向正面に入ったあたりでタニノタビトが位置取りを上げた。それに呼応してイイネイイネイイネも発進。逆にリンクスターツはスピードを維持するのが精一杯という形になった。

最後の直線に入ると、タニノタビト鞍上の岡部誠騎手は馬場の中央付近に馬を誘導し、逃げ粘りを図るレイジーウォリアーを交わして先頭に。そして大外を回ってイイネイイネイイネが猛然と差を詰めてきた。しかしタニノタビトは最後まで粘ってアタマ差で勝利。臨場した馬主の西村健さんは「しばらく低迷していましたが、馬が変わってきたと感じたタイミングで坂路がある育成場に入れて鍛え直したんです」と喜んだ。

一方2着のイイネイイネイイネは、渡邊竜也騎手が「とてもいい状態で勝てるはずだったのに、僕が馬の邪魔にしかなっていなかった」と責任をひとりで背負いこんでいた。吉田勝利オーナーも田口輝彦調教師も「よく頑張った」となだめたが、渡邊騎手の表情が明るくなる瞬間はなかった。それでも田口調教師によると「じわじわと強くなっている手応えはありますよ」とのこと。次は順調なら金沢のMRO金賞で、8月25日に笠松で行われる岐阜金賞での逆転を目指していく。

3着に粘ったパピタも逆転を狙う1頭。丹羽克輝騎手は「もともとこれくらいはやれる馬。ローテーションをしっかり組んでいけば」と、この先の活躍に期待を込めた。

一方、勝ったタニノタビトは角田調教師が「これからさらにギアを上げていくために、ジャパンダートダービーに行ってもいいのかなと思います」と、遠征に前向き。西村オーナーも「気持ちの面で問題があるタイプですが」と言いつつも、遠征を期待しているようだった。

取材・文 浅野靖典

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

岡部誠騎手

勝てて本当によかったです。イメージはもう少し後ろからでしたが、スタートがよかったのでほかの有力馬に先に行かれるよりはと思って先行策にして、前走と同じように早めにゴーサインを出しました。でも最後は先頭に立ったところで遊んでしまって。もう少し落ち着いて走れるようになればと思います。

角田輝也調教師

駿蹄賞の大差勝ちは展開が向いてのもの。そう思っていたので、今回もチャレンジャーの気持ちで臨みました。前走後は天気を考慮に入れてスケジュールを組んで、乗り込みを進めてきました。パドックでの雰囲気からも、自信を持ってレースに臨めましたね。正攻法の競馬で勝てたのも良かったと思います。