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第50回高知優駿

距離延長で期待に応える
  重賞初制覇がダービー

高知競馬の売上が低迷していた2010年前後の高知優駿の1着賞金は27万円。しかし売上げの回復・上昇にともなって徐々に賞金もアップし、ついに昨年は1000万円となり、今年はさらに上積みとなって1600万円。南関東の重賞と変わらない高額賞金となったことで、南関東の3歳重賞戦線で上位を争ってきた馬たちが3頭、兵庫からも1頭が参戦した。

専門紙を見てもおおむね南関東勢優位という評価で、東京プリンセス賞で惜しくもハナ差2着だった大井のコスモポポラリタは、地元の赤岡修次騎手の起用もあって単勝2.4倍の1番人気。北海道から浦和移籍後4戦3勝、クラウンカップで4着ながら東京ダービー出走が叶わなかったアイウォールが2番人気。黒潮皐月賞制覇から高知二冠を狙うヴェレノ、同じく地元のガルボマンボまでが単勝ひと桁台で続く人気となった。

しかし“地の利”と言おうか、高知の深くて重い砂が遠征勢を苦しめる結果となった。

ハナをとったのは1番枠に入ったアイウォールで、ぴたりと2番手にハッピーオーラ。ペースは落ち着いて、遠征で結果を残してきた地元の牝馬アンティキティラは3番手で行きたがるのを抑えるように追走。直線勝負のガルボマンボ、ヴェレノは積極的に普段より前目の位置で差なく4、5番手。その地元期待の2頭をマークするように人気のコスモポポラリタが追走した。

直線を向いてもアイウォールが単独先頭だったが、外から力強く伸びたガルボマンボが並ぶ間もなく抜き去って勝利。4コーナーで内を突いたコスモポポラリタが懸命に食い下がったが、自慢の末脚で外を伸びたヴェレノがこれをハナ差とらえ2着でゴール。しかしガルボマンボには1馬身及ばなかった。

3着に敗れたコスモポポラリタの赤岡騎手は、「いきなり高知の特殊な馬場をこなすのはむずかしい」と。逃げて4着だったアイウォールの水野貴史調教師は「ハナを取るのに脚を使ったし、距離も長かったかも。(砂が)深くて走りずらそうだった」。川崎から遠征のフレッシュグリーンは後方まま見せ場なく10着。南関東勢は、高知の砂に苦戦した。

一方、悔しい2着はヴェレノ。管理する宮川真衣調教師は今年2月の厩舎初出走から3勝目がヴェレノによる黒潮皐月賞制覇で、惜しくも二冠には手が届かず。「直線の真ん中あたりでスイッチが入った感じだったけど、今日は気持ち遅かった。しかし惜しかったなあ。ダービー、勝ちたかった」と畑中信司騎手。

重賞初制覇が“ダービー”制覇となったガルボマンボは、3歳初戦を勝ったあと、1600メートルの準重賞を2勝と、距離を延ばして結果を残してきた。前走1800メートルの山桃特別はヴェレノにハナ差2着だったが、細川忠義調教師は、「前回は強い負け方だったので、高知の馬ではナンバー1と思っていました。南関東相手にどうかはわからなかったですが、ヴェレノには負けないと思っていました」と、自信を持って臨んだ“ダービー”の舞台だった。このあとの目標は同じ1900メートルの黒潮菊花賞。他地区遠征は「そのあとに考えます」とのことだった。

取材・文 斎藤修

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

林謙佑騎手

前走がハナ差で負けてしまったので今日はほんとにうれしかったです。位置的にはいいところをとれて、ペースはもう少し速くなるかなと思ったんですけど、思ったより落ち着いたペースだったので、自分も落ち着いて乗れました。最後はヴェレノが差してくるんじゃないかと、最後まで必死にがんばりました。

細川忠義調教師

(北海道から)来た時から距離は長いほうがいいという感じはありました。(黒潮)皐月賞は距離不足はわかっていたので、ここならという思いはありました。(位置は)ちょっと前過ぎかなと思いましたが、前回の感じで行っていたので、それでも4コーナーからあれほど伸びるとは思いませんでした。