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第12回園田FCスプリント

離れた3番手から差し切り5馬身差
  高知・別府厩舎が連覇でワンツー

12回目を迎えた園田FCスプリントは、これまで高知所属馬が4勝(同着1回)を挙げている。昨年覇者ダノングッドと3着ダノンジャスティスが今年も瀬戸内海を渡ってやってきた。しかし、その道のりが今年は山あり谷あり。多田羅誠也騎手や上田将司騎手、別府真司調教師が搭乗した飛行機が離陸に向けて一旦は加速したものの、機材トラブル。別便に乗り換えることとなり、バタバタではあったが、騎手変更までには至らなかったことが好結果を引き寄せたとも言えるかもしれない。

迎える地元勢は再転入初戦の前走820メートル戦で58キロを背負いながら勝ったメイプルグレイトが中心。以前、兵庫に在籍していた昨年後半は1700メートル以上も使われていたが、短距離で存在感を示し、パドック周回前には単勝1倍台で1番人気というシーンもあった。

好スタートから先手を取ったのは、この舞台で4連勝中のイズジョードリーム。最終的に1番人気に推されたダノングッドがその直後に控えたが、砂を嫌がって後退し、3コーナーでは先頭から約5馬身も離れてしまった。それを尻目に2番手外から先頭に立ったのはブレイクフリー。しかし、ダノングッドが直線に入って外に出されるとグイグイと伸び、5馬身差で連覇を決めた。2着は道中同じ位置にいたダノンジャスティスで別府厩舎のワンツーフィニッシュ。ブレイクフリーは3着で、地元馬で最も支持を集めたメイプルグレイトはスタートで滑るような形で出遅れ、7着だった。

2着ダノンジャスティスは昨年のこのレース3着以降、重賞では3着以内に入れていなかったが、3月にJRA2勝クラスとの交流・はりまや盃をブービー人気で勝つと、輝きを取り戻してきた。「今日はダノングッドの方が速かったですが、この馬も行かせれば速いです。なにより、空港でトラブルがありながら間に合ったことがよかったですね」と、上田騎手は無事にレースに乗れたことにもホッとした表情。

対して、「もう1頭の高知勢にも差されてしまいました。ダノングッドに交わされて、なんとか2着を、と思ったのですが」と悔しい表情を見せたのはブレイクフリーの下原理騎手。「でも、820メートルでこの馬は強いですね」と、これまで4戦2勝、2着1回だったこの舞台への適性を示した。

勝ったダノングッドは今年で10歳。口取り撮影では昨年よりも元気な様子を見せ、ウイナーズサークルからコースの広いスペースに移して行われたほどだった。「もう10歳ですが、現役バリバリです。ただ、レース後の回復に少し時間がかかるようになってはいるので、この後はゆっくりさせて、問題がなければ7月26日の習志野きらっとスプリントも視野に入れたいです」と別府調教師。さらにこのレース3連覇へ向けて水を向けられると、「順調に1年を過ごせられれば、また来年も勝ちたいですね」と展望を話した。

取材・文 大恵陽子

写真 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

多田羅誠也騎手

最近は僕のミスや、少し状態が落ちていて結果を残せていなかったので、得意の舞台で勝てて嬉しいです。経験豊富な馬なので、馬に任せ、スタートだけは確実に出そうと思っていました。砂を嫌がりましたが、空いた所で外に出すと、他馬とは脚が違ったので自信を持って追いました。

別府真司調教師

このレースを目標に調教をし、いい状態で挑戦できました。道中は3番手で離れて鞍上の手が動いていたので、「どうしたのか?」と思っていましたが、直線で外に出せば交わせると思っていました。レースでは賢い馬。空港ではバタバタしましたが、結果を残せて嬉しいです。