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第5回日本海スプリント

先行争いから控えて差し切る
  3年目の細川騎手が重賞初制覇

日本海スプリントは2018年の第1回から3回連続で先手を取った馬が勝ち、第4回の昨年で初めて差し馬が勝利。その昨年、道中3番手から早めに先頭に立ち、押し切る寸前で勝ち馬の強襲を受けて2着に敗れたのがネオアマゾネス。今年は所属厩舎も騎手も昨年とは違うが、同じく前走で重賞の徽軫(ことじ)賞を制してからの参戦となった。

対する遠征勢は、笠松から3頭、愛知から1頭だったが、単勝人気は4頭とも5番人気以下。ネオアマゾネスが2年連続で1番人気の支持を受け、オッズは最終的に1.7倍にまで下がった。

しかしネオアマゾネスはゲートが開いた瞬間につまずいて、先行争いに加われなかった。それでも4コーナーで外を回り、直線で猛烈に追い上げる瞬発力を披露。しかし地元馬に先着するのが精一杯で今年も2着。勝ったのはナムラムツゴローで、2年連続で愛知所属馬の勝利となった。

この日の金沢競馬場は気温が35度ほどにまで上がったが、海の方向からの風が吹き抜けるコンディション。17時の直前にパドックに登場した日本海スプリントの出走馬は、大半がうっすらと汗を浮かべていた。ネオアマゾネスはパドックに入ってきたときは耳覆いのメンコを付けていたが、周回中に取り外して気合を入れる作戦を取った。そして4戦ぶりにコンビを組む松戸政也騎手が騎乗すると、すぐに本馬場へと移動。同じように本馬場に向かった馬は、出走10頭のうち6頭を数えた。

それは各馬にとって経験が少ないスプリント戦への準備という意味が大きかったのだろう。

ゲートが開くとアルカウン、ナーラック、イクゼファイターズと、外枠の地元勢が先手を主張。その争いには5番ゲートからスタートしたナムラムツゴローも加わったが、3コーナー手前で4番手に下げた。しかしそれが結果的に好判断。鞍上の細川智史騎手は外に進路を切り替え、直線では馬場の中央を通って残り100メートルあたりで先頭に立って押し切り勝ち。細川騎手はデビュー3年目での重賞初勝利となった。

2馬身差で2着に敗れた松戸騎手は「スタートであんなつまずきかたをするとは……」と、もう笑うしかないといった表情。12年の金沢プリンセスカップ以来の重賞勝利を逃した結果に「もったいない」と悔やんだが、「(井樋一也)厩舎にはお世話になっていますし、またチャンスが巡ってくると思うので、これからも頑張っていきたいです」と前を向いた。

ネオアマゾネスからクビ差の3着に入ったのは、トライアル戦を勝利していたナーラック。柴田勇真騎手は「競った他の2頭が速くて3番手に下げましたが、あのまま行っていたら大負けしていたと思います」と話した。

勝ったナムラムツゴローはJRA時に芝1200メートルで勝ってはいるが、好走例の大半は1600メートル以上。その馬でスプリント戦に挑んだ坂口義幸調教師の判断が功を奏す形となった。「このレースに出るのは4年連続で(19年のエイシンテキサスに続く)2勝目。私と金沢競馬場は相性がいいですね。でも今回は細川騎手をほめてやってください」と笑った。

取材・文 浅野靖典

写真 岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

細川智史騎手

インコースの砂が重そうだったので、最後の直線では外に出したいと考えていました。先手を取れればと思っていましたが、外の馬が速かったですね。さらに馬が内に行きたがる感じになったので、いったん下げることにしました。でもそのおかげでうまく流れに乗れることができたように思います。

坂口義幸調教師

短距離への適性があると思って、このレースを狙って臨みました。細川騎手には外から来られたらインコースに入れないようにと指示しましたが、閉じ込められる形にならなかったのは良かったですね。このあとは9月の(名古屋の)ベイスプリントか、盛岡のOROターフスプリントを目標に考えています。