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第26回スパーキングレディーカップJpnIII

2番手から抜け出しDG4連勝
  58kgでもJpnI馬が貫録示す

かしわ記念JpnIを制したJRAのショウナンナデシコと、日本テレビ盃とさきたま杯の両JpnIIを勝った大井のサルサディオーネ。牝馬の枠を超え、牡馬トップクラスが相手でも互角以上の走りを見せる2頭が、そろってここに駒を進めてきた。ただ、その実績から2頭とも別定58キロの負担重量。特にショウナンナデシコは初めて背負う重量だけに、本来のパフォーマンスを発揮できるのか、注目が集まった。

矢野貴之騎手が騎乗停止となり、急きょ森泰斗騎手が手綱をとったサルサディオーネが先手を奪い、ショウナンナデシコがこれをぴったりマーク。ともに出脚は鈍かったが、大方の予想通りこの2頭が馬群を牽引した。前半3ハロンは36秒0と、やや速めのペース。それでも2頭は3コーナー過ぎから他馬を引き離しにかかり、直線も馬体を併せて懸命に脚を伸ばす貫録のレースを展開した。

しかし、残り100メートルでサルサディオーネが脱落。そこへ後方から脚を伸ばしたレディバグが猛追して2番手に浮上し、さらにショウナンナデシコを追いかける。ただ、追撃はそこまでで、ショウナンナデシコがクビ差で振り切りダートグレード4連勝を果たした。

JpnI馬の力を見せつけた。外枠からサルサディオーネを徹底的にマークしたショウナンナデシコが、58キロに屈することなく勝利をもぎ取った。「脚は鈍っていなかったですが、最後は詰め寄られましたね。よく勝ち切ってくれました」と吉田隼人騎手。管理する須貝尚介調教師も「青写真通りのレース。最後は斤量もあったと思うし、2着の馬もうまく乗っていましたから」と、ともに安堵の表情を見せた。

脚元に不安があるため、レースを使いながら状態をキープさせているショウナンナデシコ。須貝調教師は「脚のケアは大変だけど、これだけのパフォーマンスを見せてくれますからね。JBCは行きたいと思っていますが、今後については馬と相談して決めます」と慎重な構えを見せつつ、秋の大目標へ意欲を見せた。

2着のレディバグは6番手の追走から猛然と追い上げた。戸崎圭太騎手は「位置取りはイメージ通りでした。道中は促しながらの追走になりましたが、最後に脚を使ってくれました」と評価した。ダートグレードでは2歳時の兵庫ジュニアグランプリJpnII以来の連対。マリーンカップJpnIIIでは5着だったが、この走りができれば十分にめどが立ったと言える。今後もリズム良く追走できるかが鍵となる。

サルサディオーネは勝ち馬から0秒6差の3着。「ショウナンナデシコのプレッシャーが厳しかったですね。58キロもしんどい感じでしたし、少し気難しい面も感じたのでテン乗りでは難しい」と森騎手が話せば、堀千亜樹調教師も「少しモサモサしていたね。58キロは厳しい」と斤量に敗因を求めた。ただ、現在のダート牝馬路線では、かつてのテオレーマ(引退)のように強烈な末脚を使う馬が不在。それだけに、“あの馬さえかわせば”という、格好の目標になっている面がある。逃げ馬の宿命ではあるが、相手関係次第ではまたチャンスが巡ってくるに違いない。

取材・文 大貫師男

写真 築田純(いちかんぽ)

Comment

吉田隼人騎手

サルサディオーネも力があるので、ある程度これを見ながら追走していました。前走より(負担重量が)3キロ増えていたのでさすがに苦しそうで、最後も詰め寄られましたが、それでも勝ち切ってくれて素晴らしいなと思いました。秋の大きなレースに向けて馬も自分も頑張っていきます。

須貝尚介調教師

間隔をあけすぎても良くないので、いい状態をキープするために1戦入れておかないと、と思って使いました。いい馬場でやれてよかったですし、外枠だったので、内の馬を見ながら青写真通りの競馬ができました。脚のケアは大変ですけど、これだけのパフォーマンスを見せてくれて馬に感謝しています。