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第15回兵庫サマークイーン賞

2番手から力の違い示す
  再度の遠征でGDJ2勝目

関西地方は梅雨明け後に雨が降る日が多数。しかもその量が多かったために、パドックの大型ビジョンが故障してしまった。普段ならそこで馬体重やオッズを確認できるのだが、いつもと勝手が違うという様子のファンが多く見られた。

この週も雨が続き、当日は朝から曇り空でも馬場状態は稍重。ナイター開催の兵庫サマークイーン賞のパドックに出走馬が入ったときの気温は30度に満たなかったが、遠くから雷鳴が聞こえる蒸し暑いコンディションになった。

その状況は出走各馬、とくに遠征馬にとって厳しかったことだろう。大井への移籍初戦が他地区への遠征となったジュランビルは馬体重が前走比で9キロ増だったが、そのほかの4頭はすべてマイナス。浦和のダノンレジーナはこれまでの最低体重でレースを迎えた。

パドックを歩く出走12頭のなかで気合を表に出していたのはステラモナーク。愛知のシーアフェアリーも軽快に歩いて連覇への期待を感じさせた。大井のメモリーコウも前の馬に追いつきそうな勢いを見せていたが、人気の中心はダノンレジーナ。締め切り5分前は2.0倍だったが、最終的には1.6倍にまで支持を伸ばした。

今年の出走メンバーのなかで逃げたいタイプはステラモナークだけ。ゲートが開くとすぐに先手を取り、ダノンレジーナが2番手につけた。

1周目のホームストレッチに入ったところで各馬の位置取りは定まり、先導するステラモナークの鞍上・下原理騎手はそれほどペースを落とさずにレースを進めた。そして向正面を向いたところでペースアップ。2番手を進むダノンレジーナとの差は3馬身ほどに広がる場面もあった。

しかしダノンレジーナは3コーナーあたりから徐々に差を詰めて先頭に接近。4コーナーでは差し切り濃厚という手ごたえに見えた。

ただ、ダノンレジーナ以外の遠征馬の多くは、その流れに対応できなかった。ジュランビルは後方2番手から差を詰めて5着に入ったが、メモリーコウは5番手あたりから後半に伸びず7着。4番手を追走したロカマドールは9着に敗れ、シーアフェアリーは中団から徐々に後退して10着に終わった。

逆にうまく流れに乗ってきたのが地元の名手。10番人気のシークレットローザは「掲示板に載れたら、くらいの気持ちで乗ったんですが」という吉村智洋騎手に導かれてダノンレジーナから3馬身差の2着に入り、8番人気のデンコウハピネスは「いいところを通れました」という田中学騎手のエスコートで1馬身差3着。ステラモナークはさらにクビ差での4着だったが、下原騎手は「いい頃の雰囲気に戻ってきました」と笑顔を見せた。

それでも今回の出走馬ではダノンレジーナの実力が圧倒的。しかし担当厩務員は「夏負けの感じが出てきて、けっこう厳しかったです」と苦笑いしていた。そのため「金沢(読売レディス杯)もと思っていましたが、そこはパスしようと」(臨場した酒井孝敏オーナー)いう方針になったそうだ。グランダム・ジャパン古馬シーズンを狙うほかの各馬は、そこがつけ入るスキになるだろうか。今年の夏の暑さがどの程度なのか、それがタイトルの行方を左右する要因のひとつになるのかもしれない。

取材・文浅野靖典

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

本橋孝太騎手

前走の佐賀で遠征も久々の馬場でも大丈夫でしたし、自信を持って乗りました。レースでは2番手で、後ろを気にしながらでも馬のリズムで乗りました。ゴーサインは最後の直線で出しましたが、後ろから別の馬が来る気配は感じなかったですね。物見もしなくなりましたし、成長しているなと思います。

小久保智調教師

暑いなかでも馬が頑張ってくれているのがいちばんです。馬が自身の状態をこちらに伝えてくれているのがありがたいところです。それでも佐賀遠征の影響がまだ残っているのかなという感じがありますから、今後は(9月2日・名古屋の)秋桜賞を目指していこうと考えています。