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第34回ばんえいグランプリ

軽めの馬場でも揺るぎない自信
  断然人気で逃げ切り連覇達成

ファン投票による真夏の重賞レース。1位には昨年の覇者、メムロボブサップが選ばれた。しかし2位のアオノブラックは夏が苦手で、3位のアアモンドグンシン、5位のサクラヒメは休養中。7位のブチオはばんえいグランプリ出走馬を除くファン投票上位馬による新設レース『第1回ばんえいスタートロフィー』に回り、ファン投票上位馬が数頭回避する結果となった。

そんな中でもメムロボブサップはコンスタントに出走して今季連対率100%。帯広の暑い夏でも順調に過ごせることがグランプリホースの条件なのかと思う。単勝人気も1.1倍と圧倒的な支持を集めた。

重めの馬場を望んでいたメムロボブサップ陣営だが、夕方に短時間の大雨が降って第4レースまでは1.6%だった馬場は1.8%へ。軽くなったことで、坂本東一調教師は他馬の奇策を心配したが「ボブはいつも、どんなレースでも耐えてくれる」。阿部武臣騎手も「馬場は軽くなったが800キロの荷物なら、そう逆転は簡単ではない」と馬を信じてレースを迎えた。

2番人気は今年のばんえい記念馬メジロゴーリキ、3番人気は一昨年の優勝馬ミノルシャープで、古参の実力馬と、今後に期待がかかる5、6歳馬が相まみえる興味深いレース。出走8頭全てがオープンクラスで重量は800キロとそろった。

インビクタが先行してレースを引っ張り、メムロボブサップとメジロゴーリキ、ミノルシャープが入れ替わりながら2番手に続く。インビクタは44秒で第2障害に到達し、最初に仕掛けたが天板手前で膝をついた。続いた3頭が同時に仕掛けた。メムロボブサップとメジロゴーリキが一腰で越え、メムロボブサップが行き脚を見せて先頭へ。ミノルシャープは二腰で越え3番手。逃げるメムロボブサップを後続馬は捕らえられず、1分40秒6でメムロボブサップが連覇を果たした。

オーナーブリーダーの竹澤一彦さんは「腰の入れ方がうまいのか、天板で強い。他の馬にまねができない」とほっとした表情を見せた。

2着のメジロゴーリキは道中からメムロボブサップを意識し先行したが2秒0届かなかった。ミノルシャープは脚の治療で9カ月休養し、7月に復帰したばかり。3着の結果は関係者の努力をたたえたい。インビクタは初めての重量で障害を越えられなかった(競走中止)が、もともと障害に定評がある馬。実力馬相手に果敢に先行しレースを盛り上げた。

場内では『ばんえい夏まつり』と題してキッチンブースやコンサートなどのイベントも実施し、久々に夏らしいにぎわいが見られた。ファン投票上位馬や3歳活躍馬の生産者を表彰する式典も行われた。

取材・文 小久保友香

写真 中地広大(いちかんぽ)

Comment

阿部武臣騎手

ほっとしています。雨で軽い馬場になったが、道中息を入れられたのが良かった。後ろから来る馬の気配は感じていましたが、障害を早く降りれば差されないと思っていました。暑い日が続き、馬も弱っていたと思うがよく頑張ってくれました。

坂本東一調教師

暑い日が続いたが、状態面が崩れなくて安心しました。ファン投票1位の期待を裏切らないように、馬券を買ってくれるファンのことを常に考えています。馬を見るのが私の仕事。夜中でも馬房を回って体調に気を配っています。