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第5回園田オータムトロフィー

3番手から内を突いて抜け出す
  デビューから6連勝で重賞制覇

園田競馬場では9月8日に地元馬限定の園田オータムトロフィー、9月15日に西日本地区交流の西日本ダービーと、2つの3歳重賞が実施される。

園田オータムトロフィーに出走してきたのは兵庫ダービーを制したバウチェイサーを含む10頭。その実績馬を抑えて勝利を挙げたのは、デビューから5連勝の勢いで臨んだエコロクラージュ。バウチェイサーは6着に敗れた。

直前の第10レースまでヤングジョッキーズシリーズが行われていたことで、場内には大型のカメラを持ったファンが多く、とても賑やか。その雰囲気は続く園田オータムトロフィーにも引き継がれた。

1番人気はバウチェイサー、2番人気はエコロクラージュで、この2頭が3倍未満の支持を集めた。やや離れて8.2倍の3番人気は、兵庫で3着内率100%のシュルヴィーヴル。ローグネイションは13.5倍の4番人気だったが、大井の黒潮盃から中2週でも気合が伝わる歩きを見せていた。ただ、シュルヴィーヴルとローグネイションは、ともに後方から差を詰めてくるタイプ。今回は展開に恵まれなかった。

ゲートが開くと、2番枠のウインドケーヴが好スタートから先手を主張。すると、1周目の3コーナーでバウチェイサーが先頭をうかがう動きを見せた。しかしながら、競り合いになるのではと思えた雰囲気は一瞬だけで、バウチェイサーの笹田知宏騎手は2番手に控えることを選択。その時点でスローペースが確定的になった。

ウインドケーヴ鞍上の川原正一騎手が先頭で脚を溜めながら進む流れを壊しにかかる騎手はおらず、先頭から最後方まで8馬身程度で進む展開。シュルヴィーヴルは5着、ローグネイション7着と、持ち味を出せないままゴールを迎えた。

対してエコロクラージュは3番手を追走して、最後はインを突いて差し切り勝ち。逃げた8番人気のウインドケーヴが2着に残り、川原騎手は「バウチェイサーが並んできたとき、僕は下げる気配を見せなかったからね」と振り返った。3着には中団から流れ込んだ5番人気のアンサンで、バウチェイサーは最後の直線で失速。笹田騎手は「目に見えない疲れが残っていたとしか考えられません」とコメントを残した。

それを裏付けるかのような話をしたのが、勝利した吉村智洋騎手。「2周目の3コーナーでの手応えで、バウチェイサーはないなと思いました。今年は6月の終わりから7月頃がとても暑かったでしょう。それが堪えている馬が多いように思うんですよ」

エコロクラージュはJRAでのデビューを断念して、年明けに園田に入厩。2月15日のデビュー戦から兵庫ダービーを目指したが、4連勝したところで吉村騎手の進言によって休養入り。「それが良い方向に出たと思います」と、吉村騎手も保利良平調教師も話していた。今後は9月27日に名古屋競馬場で行われる秋の鞍、または10月2日に盛岡競馬場で行われるダービーグランプリを視野に入れていくそうだ。

というところで、保利調教師が「そういえば、来週の西日本ダービーって出られるのかな」と記者たちに質問。しかしすぐに「ウチの厩舎はそんな使いかたはしません」と大笑い。その表情には、勝ってホッとしたという気持ちに満ち溢れていた。

取材・文浅野靖典

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

吉村智洋騎手

センスのかたまりという感じがする馬ですね。今日は枠順にも展開にも恵まれましたが、スタート後に理想的な位置も取れて、最後まで手応えに余裕がありました。最後の直線では逃げていた川原さんがステッキを右に持ち替えたのを見てインコースが開くと思ったので、そこを狙っていきました。

保利良平調教師

前走のトライアル戦は挑戦者の気持ちで臨んだら、重賞でもと思える勝ちかたをしてくれました。今回はスタートだけが心配でしたがクリアしてくれて、道中はこれで負けたら仕方がないという思いで見ていました。僕が考えていた理想の競馬を吉村騎手がしてくれましたね。まだまだ奥がある馬だと思います。