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第29回アフター5スター賞

抜群の手応えで突き放し完勝
  今年も軽量3歳馬が古馬を一蹴

初秋のスプリント決戦に好メンバーが顔をそろえた。東京スプリントJpnIIIで3着のギシギシ、全日本2歳優駿JpnI・3着のプライルード、目下10連勝中のオリジネイター、昨年の覇者ワールドリングなど、名前を挙げていけば枚挙にいとまがない。

なかでもギシギシは前走の習志野きらっとスプリントで重賞初制覇を果たし、3連勝と波に乗っている。ここを勝って東京盃JpnIIにつなげられるか注目を集めた。ただ、3歳馬のプライルードも差のない2番人気。昨年のワールドリングもそうだったが、このレースは例年、3歳馬が斤量面で優位に立てる。別定53キロ、前走優駿スプリントで重賞初制覇を飾った勢いを駆って、ここへ駒を進めてきた。

しかし、2頭ともスタートは今ひとつ。紅一点のキモンルビーが先手を奪い、外枠のオリジネイター、カプリフレイバーが続く展開となった。前半の3ハロンは34秒2。標準的な時計に戻り始めた今の馬場では、少し速めのペースで進んだ。プライルードは軽量を生かして挽回し、3コーナーの入口までに5番手へ浮上。ギシギシは58キロもあってか、さらにそのうしろで押っつけながらの追走になった。

絶好の手応えで直線に向いたプライルードは、外に持ち出すと残り200メートル標識で先頭へ。その後も本田正重騎手のステッキに応えて脚を伸ばし、3馬身半差をつけてゴールを駆け抜けた。ギシギシは伸び切れず7着に終わり、人気2頭の明暗はくっきりと分かれた。

プライルードは門別の栄冠賞、イノセントカップでともに2着と、早くから高いスプリント能力を示してきた。一時は南関東三冠を目指したものの、路線変更後の2戦を見れば、やはり短距離がベストなのだろう。本田騎手も「斤量面の恩恵はありましたけど、それにしても強かったですね。もっと強い相手と戦うことになっても楽しみ」と高い能力を再認識した様子。藤田輝信調教師も「ジョッキーも自信を持った乗り方をしてくれて、強い勝ち方をしてくれました」と笑顔だった。今後についてはオーナーサイドとの相談次第としたが、JBCスプリント指定競走となっている一戦を制したことで「能力のある馬なので、自分としてはJBCにも行ってみたい」と意欲を見せた。

2着には7番人気のカプリフレイバーが入った。前走のオープン特別を勝って復調気配を示していたが、それに続く好走で、「前走より状態は良かったですね。調教方法を変えたことでメンタルが良くなった感じで、最後まで集中して走ってくれました」と真島大輔騎手。大外枠で最後の枠入りとなり、ゲート内の滞在時間が短かったのも幸いした印象。昨年の川崎スパーキングスプリント以来、タイトルからは遠ざかっているが、重賞2勝の実力は健在だ。

一方のギシギシは本来の走りが見られず、馬群の中でゴールを迎えた。矢野貴之騎手は「スタートが全てですね。斤量もあって伸びそうで伸びなかった」と肩を落としたが、続けて「この数カ月で馬を取り巻く環境、条件が大きく変わって、迎え撃つ立場になりましたからね。これも勉強でしょう」と前を向いた。年初にB2を走っていた馬が、春にはJpnIIIで3着、前走でスーパースプリントシリーズの頂点に立ち、地方を代表するスプリンターとなった。それだけに、斤量面のみならず他陣営からのマークも厳しくなり、これまでのようなスムーズな競馬は望みにくい。残念な結果にはなってしまったが、矢野騎手の言葉通り、これを経験にしてほしいところ。

取材・文大貫師男

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

本田正重騎手

状態の良さは伝わってきたのですが、大丈夫かなと思うくらいおとなしかったのが不安でした。道中はずっと手応えが良くて一番いいところに入れたし、ゴーサインを出してからの勢いも良かったので、このまま行こうと思いました。このメンバーでこれだけ楽な勝ち方をしてくれたので、先々が楽しみです。

藤田輝信調教師

強い馬がそろっていたので簡単ではないと思っていましたが、53キロでしたし、実力を発揮してくれたら勝てると思っていました。全日本2歳優駿のころは怖いくらいうるさかったのですが、今回は寝そうなくらいおとなしくて、心配になるくらいでしたね。強い勝ち方をしてくれて良かったです。