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第30回青藍賞

出遅れても直線独走
  紅一点が牡馬を一蹴

1993年、『岩手県競馬組合設立30周年記念競走』としてスタートした青藍賞は、今回が30回目。当初はダート2000メートルだったが、2000年からは1600メートルとなり、岩手所属馬にとっては、1カ月後に行われるマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIへのトライアル(1着馬に優先出走権)、そしてJBCクラシックJpnIおよびJBCスプリントJpnIの指定競走となっている。近年ではエンパイアペガサス、ヒガシウィルウィンが連覇するなど注目のレース。

今年の古馬岩手グレード“M1”シアンモア記念を制したヴァケーションは川崎遠征(8月25日・スパーキングサマーカップ4着)後で今開催は未格付。8月31日に発表された出走登録は18頭。しかし、出走回避馬が続出し、その中には一條記念みちのく大賞典勝ちステイオンザトップの名もあり、最終的には8頭立てとなり重賞勝ち馬はゴールデンヒーラーと、マイネルアストリアの2頭だけというちょっと寂しい顔ぶれになった。

青藍賞トライアル・すずらん賞を勝ってきたセイヴァリアントが単勝1.9倍と支持されて1番人気。メンバー唯一の牝馬で、これまで重賞5勝、今年はシアンモア記念3着、みちのく大賞典2着、金沢・読売レディス杯3着のゴールデンヒーラーは金沢遠征帰りとあって単勝2.3倍。今春JRAから岩手入りして赤松杯、あすなろ賞の重賞2勝マイネルアストリアが単勝6.1倍。4番人気以降は10倍以上で、注目となったのは3頭。

レースは1番枠ゴールデンヒーラーがスタートでつまずく。外枠から気合をつけてマイネルアストリアが先手を主張、ゴールデンヒーラーが直後につけ、3番手のドラセナは少し離されて周回コースへ。淀みのない流れでレースは進み、勝負どころの3コーナーでは後続も手が動いて追い上げ態勢へ。4コーナーを回ってもマイネルアストリア、ゴールデンヒーラーの2頭に対して後続はなかなか差を詰めることができず直線へ。

坂をかけあがるとゴールデンヒーラーが突き放し2馬身半差をつけてフィニッシュ。勝ちタイム1分38秒0【12.8-11.6-11.9-11.8-12.2-12.1-12.2-13.4】は水沢開催から盛岡ダート1600メートルに替わった近4回の中では最速時計。牝馬が青藍賞を制したのは第15回(07年)サイレントエクセル、第18回(10年)マイネベリンダに次いで3頭目となった。

山本聡哉騎手は「スタートには気をつけていましたが、つまずいてしまいました。内枠のスタートは滑りやすく、1番枠はサイドに馬もいないから……。逃げも考えていたけど、マイネルアストリアは出方が速くて、他にはつけている馬がいなくて落ち着いて外へ2番手から。デビューから乗っている馬で今回は古馬タイトルを獲らせてあげたいプレッシャーはありましたが、勝てて嬉しいですね。今回はM2、もっと上のタイトル古馬M1をと思っています」と思いを語ってくれた。それが、珍しくゴールでのガッツポーズへと繋がったのであろう。

「今後について現時点では白紙です。まずはゆっくり疲れを取り、馬の状態とオーナーと相談の上で決めたいと思います」と佐藤祐司調教師。

取材・文峯村正利

写真佐藤到(いちかんぽ)

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山本聡哉騎手

ゲートが速かったら逃げようと考えていましたが、スタートでつまずいて2番手に控えました。つまずいたことで脚を使い前半で消耗し、手応えは抜群とは……。逃げたマイネルアストリア、後ろにいる馬たちの脚を考えて自分のタイミングで動きました。最後は地力を出してくれて、頑張ってくれました。

佐藤祐司調教師

ビューチフルドリーマーカップの選択肢もありましたが、マイル前後がベストの判断から青藍賞を選びました。金沢遠征後は疲れもなく、順調に乗り込みを積んで仕上がりに関しては不安な材料はありませんでした。自分のところでデビューした馬が古馬重賞を獲れたことを誇りに思っています。