佐賀競馬場は昭和47年7月に現在地で競馬開催が始まって、今年でちょうど50年。それを記念していろいろと節目を祝う行事などが行われています。
この50年の間に変化した点はたくさんあります。大きいところでは開催日程は土日月の週3回から週末の週2回が基本に変わり、第1レースの時刻は以前よりも遅くなり、そして入場者数は減少……
一時は下級条件の1着賞金が10万円にまで下がり、1日の馬券売上の合計が1億円のはるか手前という時期もありましたが、それを乗り越えた現在は賞金額も各種の手当ても上昇傾向にあります。
その一方で、風景が一変したのが場内にある飲食店。それは全国各地の地方都市の駅前から延びる「シャッター街」のごとき風景。この「馬美味行脚」で紹介したものの、現存していない店がけっこうあります(涙)。
しかし競馬の景気が激落ちした時代、そして新型コロナウィルスによる無観客開催の時期を乗り越えて、開業50年を迎えた店がいくつかあります。
奥のほうから順番に店名を列挙すると「二千両」、「おおつか」、「とりぜん」、「のだ屋」。
この4軒の店主はすべて“勤続50年”。つまり20代の半ばに店を始めたとしても、現在の年齢は……。
そのため、ときどきある平日開催は営業していないことがよくあります。
そんななか、入口のすぐ右側にある簡易店舗の「のだ屋」さんは、いつ行っても営業中。私が訪問したのは平日開催の午後5時すぎでしたが、店先には夫婦2人の姿がありました。
「ごめんね~。今の時間はちゃんぽんと焼きそばとカレーだけ」
その三択なら、ちゃんぽんかな。3人で入って、ちゃんぽん2つと焼きそばひとつで注文しました。ちなみに焼きそばも600円。
ところで長きにわたって連載している「馬美味行脚」。これの第1回は、今はなき荒尾競馬場で、2階の立ち食い売店(イマ風に言うとフードコート)で熊本ラーメンを紹介しました。
そこで食べ終わったあと、店先のメニュー表に「冷やし麦」と書かれていて「なにそれ?」とナゾが残った、という原稿を書いた記憶があります。
そのナゾはひょんなところから解決。某乳酸菌飲料の会社が「そうめん」も製造していて、その商品ラインナップが「そうめん」と「中めん」と「ひやむぎ」になっているのです!
その「中めん」の商品説明によると、
「うどんとひやむぎの中間の太さ」
とのこと。おそらくこれが「冷やし麦」。しかしですよ。のだ屋のご主人に聞くと、
「冷やし麦は、そうめんと冷や麦の中間だね」
と言うではありませんか!
うーむ、なにが正解なのかサッパリわからん……。
ただ、のだ屋のご主人は「そうめん研究家」なのだそうで、全国のそうめんに関する資料が店頭に置いてありました。だとすると、こちらのほうが正しいのかな。次回の訪問時はたとえ冬でも「そうめん」を注文しようと思います。
そうそう、今回の紹介記事は「ちゃんぽん」でした。注文を受けてから野菜を炒めて麺をゆでて、創業50年の手際のよさで到着までの所要時間はおよそ3分。九州に来たことを実感できる、安定のおいしさでした!
浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。