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第7回西日本ダービー

ゴール寸前差し切り人気にこたえる
  ダービー・ダブル達成で重賞5連勝

西日本地区の持ち回りで行われる西日本ダービーは昨年の名古屋で開催場が一巡し、園田競馬場での実施は第1回以来6年ぶり。

原則として所属場の生え抜きという出走条件が付くため必ずしも各地のダービー馬が出走してくるわけではなく、今年、地元の“ダービー”を勝って出走してきたのは金沢の二冠馬スーパーバンタムだけ。金沢で昨年末から7連勝、重賞4連勝中という成績で、9月4日に行われた三冠目のサラブレッド大賞典には出走せず、ここを狙ってきただけあって単勝1.3倍という断然の支持を集めた。

確たる逃げ馬はなく、ゲートを勢いよく飛び出したのはスーパーバンタムだったが、内の2番枠から高知のフィールマイラヴが押して先頭に立った。スーパーバンタムはぴたりと2番手で、地元のピロコギガマックスが3番手。4番手以下はやや離れ、スタート後の向正面では縦長だったが、スタンド前の直線でペースが落ち着き馬群が凝縮した。

2周目の向正面に入って徐々にペースアップすると再び馬群がばらけ始め、前半ペースが落ち着いたぶん、勝負は先行勢に絞られた。

3コーナーでスーパーバンタムが手応え十分のまま先頭に並びかけると、そのまま突き放すかに思われた。しかし必死に抵抗したフィールマイラヴは、直線半ばあたりで再び1馬身ほど前に出て形勢逆転。それでもゴール寸前、ぐいとひと伸びしたスーパーバンタムが差し切り、クビ差での勝利となった。

4コーナーで外に持ち出しゴール前で一気に差を詰めた笠松のアイファーエポックがアタマ差3着。金沢三冠目のサラブレッド大賞典制覇から中10日という強行軍のスターフジサンは6着。菊水賞勝ちで2番人気と地元の期待を集めたベルレフォーンは中団6番手から勝負どころで前に迫る場面もあったが、4コーナーで外に振られたこともあり、見せ場をつくれず7着だった。

8番人気ながら惜しくも2着だったフィールマイラヴは、黒潮皐月賞10着のあと高知優駿には出走できず、古馬C3クラスで3戦好走したまでで、マイルを超える距離も今回が初めて。「4コーナーで内に刺さってしまい、もっとスムーズな競馬ができれば……。悔いが残るレースでした」と塚本雄大騎手。管理する目迫大輔調教師は「枠順(2番)を見た時点で逃げる作戦でした。着でもあればと思っていましたが、びっくりです」。またもう1頭高知から参戦したマオノウイッシュは高知三冠はいずれも差のある7着だったが、今回は勝ち馬から1秒0差の5着。地元三冠では圏外だった2頭ともが、遠征した西日本交流の舞台で見せ場をつくったことでは、あらためて高知のレベルの高さを示す結果でもあった。

地元の石川ダービーに続いて“ダービー・ダブル”としたスーパーバンタムは、これで重賞5連勝。金沢勢としては西日本ダービー初制覇となった。青柳正義騎手は「兵庫で期間限定騎乗をさせてもらってるときからカメラにサインをしてみたくて、今回それが叶いました」と笑顔。鈴木正也調教師はチヨノドラゴンで2007年の兵庫牝馬特別を制して以来、園田では15年ぶりの重賞勝利となった。「ここを目標にやってきたので、次のことはまったく考えていません」とのことだが、ボーナスのかかる3歳秋のチャンピオンシップのファイナル、10月2日の盛岡・ダービーグランプリ挑戦は、果たして。

取材・文斎藤修

写真桂伸也(いちかんぽ)、NAR

Comment

青柳正義騎手

ハナか2番手と思っていたので理想どおりの競馬ができました。このペースならうしろの馬はないだろうと思っていたので、相手の手応えを見ながら、自分の馬は前回ほどの手応えがなかったので、早めに3コーナー手前から動いて行きました。相手もしぶとかったですが、最後は勝負根性で交わしてくれました。

鈴木正也調教師

仕上がりは順調に来ていたと思います。コーナーで折り合いはついてると思っていたので、あとは直線勝負だなと思っていましたが、最後は交わせないかと思って、ゴールの瞬間は見ていません。精神的にもすごく成長してびっくりしてます。このあとは十分休みをとりながら大事にいきたいと思っています。