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第51回戸塚記念

直線一気に抜き去り3馬身差
  二冠牝馬が秋も変わらぬ強さ

今年で51回を迎えた伝統の一戦・戸塚記念は、2018年から南関東S1に格上げされた3歳馬の重賞レース。今年は、東京ダービー馬カイルと桜花賞&東京プリンセス賞を制した二冠牝馬スピーディキックが、それぞれ夏休みを終え始動。豪華な初対決は、レース前から大きな注目を集めた。

結果的には、スピーディキックがひと夏越しても変わらぬ強さで完勝。「純粋に安心しました」と管理する藤原智行調教師も胸をなで下ろしていた。牝馬が戸塚記念を制したのは15年のミスアバンセ以来7年ぶりで、牝馬のクラシックを制した馬で言えば12年のアスカリーブル以来10年ぶりの快挙。

藤原調教師は、スピーディキックがこの休養期間後も変わらぬ強さでいられるよう熟慮し、関東オークスJpnII(3着)後は夏休みとして完全に緩めるのではなく、ローテーションの間隔を少し空けるというイメージで、いつも短期のリフレッシュ放牧を過ごしている茨城県の森本スティーブルで軽めに乗り続けてきたという。

「例年、牝馬のクラシック路線で活躍している馬がオークスの後になかなか成績が伸びていなかったので、オークスの後も成績を伸ばせるような馬作りはどういうことをした方がいいのかを自分で模索しながらきたので、やり方が間違っていなかったことが証明できました。元々が完成されている馬なので、変わらないで帰ってきてくれたというのが良かったです」

今回は山崎誠士騎手が初騎乗。道中は中団前のポジションを取ると、2周目の3コーナー付近で一気に進出していき、直線では逃げ粘りを図ろうとした10番人気ショットメーカーを外から一気に抜き去り3馬身差つけた。勝ちタイムは2分17秒3(良)。3着には好位から進めた8番人気デルマアズラエル。

スピーディキックはホッカイドウ競馬時代も入れると、6つ目の重賞勝ち。秋のローテーションに関しては様々な選択肢を考慮し、11月9日に実施される同じ舞台のロジータ記念に向かう予定だという。

セールスポイントは、騎手の指示通りに動ける操縦性や馬群で我慢をして突破する能力、どこから行っても最後はしっかり脚を使えること。これで1200メートルから2100メートルのタイトルを獲得。ルックスは愛らしい可憐な牝馬だが抜群のレースセンスを武器にして、これから待っている未来が楽しみだ。

一方、東京ダービー馬カイルは11着に敗れた。道中は中団追走も勝負所でついていけず最後も伸び切れなかった。今回は残念な結果に終わったが、次はどのくらいの変わり身を見せるのか巻き返しを期待したい。

取材・文高橋華代子

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

山崎誠士騎手

以前からレースがしやすそうな馬だなとは思っていましたが、実際に乗ってみて、自在で操作性も良くて、すばらしい馬でした。僕自身は怪我で復帰したばかりだったのでちょっと不安なところもありましたが、馬がちゃんと応えてくれて良かったです。まだまだタイトルを獲れる馬だと思います。

藤原智行調教師

山崎くん(騎手)がテン乗りでどうかなという話も出ていましたが、僕の中ではスピーディキックは鞍上がしっかり乗ってくれれば、どんな競馬でもすると思って見ていました。現地で応援してくれたファンの皆さんや遠方からも応援してくれたファンの皆さんのお陰で勝つことができました。