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第34回珊瑚冠賞

強気の先行策で押し切る
  台風による延期も味方に

台風14号の影響で高知競馬の開催が順延となり、珊瑚冠賞は1日遅れの9月20日(火)に行われた。結果的にはこの台風が、勝負の鍵を握っていた。

実績的には重賞12勝のスペルマロンが突出。しかし今回は5カ月ぶりの休み明け。2連覇している珊瑚冠賞だが、休養前の成績がかんばしくなかったこともあってか、単勝オッズは10.2倍の3番人気に落ち着いた。

建依別賞を快勝したアメージングランが2.3倍の1番人気。前走は先行して押し切ったグランデラムジーが、3.5倍の2番人気となった。

カバジェーロ&岡遼太郎騎手が好スタートを切って先頭へ。ところが外からスペルマロン&倉兼育康騎手が並びかけて、併走状態となり序盤からペースが上がる。グランデラムジー&赤岡騎手は3番手を追走する。

スペルマロンは2周目の向正面で単独先頭に立つも、3コーナー手前で後退、代わってグランデラムジーが先頭に躍り出る。ゴールデンブレイヴやヤークトボマーが食らいついていくが、直線に入ると突き放されてしまった。

いつもより長い1900メートル、パワーを要する馬場(馬場状態は不良だが意外に乾いていた)にあえぐ後続を尻目に、グランデラムジーは悠々と先頭でゴールを駆け抜けた。

2馬身差で2着のエイシンピストン、3着のアメージングランは、いずれも後方で脚を溜めて末脚勝負に懸けた馬。先行勢が軒並み着外に沈むなか、強気の競馬で押し切ったグランデラムジーの強さが際立つ。赤岡騎手は言う。

「グランデラムジーは掛かりやすくて乗り難しいところがあるのですが、前走で最初は2番手で途中から逃げるような形で勝ったので、(田中)守先生と『もしいい位置が取れたら、そのまま流して行こう』と話していました。そうしたらスペルマロンの倉兼君が行く気で行ってくれて、ペースが流れたので、引っ掛かることなく落ち着いてくれました」

エイシンピストンは4カ月ぶりの実戦で、大まくりを繰り出して2着。手綱をとった岡村卓弥騎手は言う。

「3コーナーで馬自身が動いて行きました。1600メートルがベストで、1900メートルは少し長いと思うんですけど、頑張ってくれましたね。休み明けでいい走りをしてくれましたし、次走が楽しみです」

アメージングランは初めての1900メートル戦を3着にまとめた。宮川実騎手はこう振り返る。

「今回は距離を考えて、差す競馬に徹しました。岡村君が後ろから来るのはわかっていたので、彼に着いていく感じで、理想的な形になったんですけどね。それでもベストとは言えない距離で、よく頑張って走ってくれました」

スペルマロンは10着に沈んだ。倉兼騎手は、まだ本調子ではないスペルマロンが復活のきっかけをつかめるように逃げを打ったそう。次走に注目したい。

9月18日(日)、赤岡騎手は古傷の左膝を痛めて、第4レース以降のレース騎乗を取りやめた。その日は結局、台風の影響で第5レース以降が中止。そして19日(月)のレースは、20日(火)に順延。この順延によって生じた中1日の間にできる限りのケアをして、痛みが和らいだことから、グランデラムジーに騎乗することができたのだという(その後、痛みがぶり返して第10、11レースは騎乗変更)。もし珊瑚冠賞が予定通り開催されていたら、結果は違っていたかもしれない。

取材・文井上オークス

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

赤岡修次騎手

そこそこ速いペースだったんですけど、馬がよく頑張ってくれて、後続の追撃を振り切ってくれました。短距離気質じゃないかというくらい、自分からハミを取って行くんですけど、意外と長い距離のほうが走る。他の馬がついて来られないくらいに離していきますし、やっぱり心肺機能が強いんでしょうね。

田中守調教師

ホッとしました。グランデラムジーの長所は、素直で前向きなところです。これでスッと気を抜くことを覚えてくれたら、言うことないですね。神経質な性格で、福永洋一記念の時は、出走を察してテンションが上がりすぎてしまい、腹痛を起こして出走を取消したほど。今後も地元のレースを走ります。