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第24回園田プリンセスカップ

ロスなく運んで直線抜け出す
  3馬身差快勝で母娘制覇達成

今年の園田プリンセスカップはスイープステークスが競走除外となり、9頭立て。そのうち5頭の母が兵庫在籍歴のある馬たちと非常に多く、近年の地方競馬の活況ぶりを表しているようでもあった。

その中でも注目を集めたのはデビューから2連勝中のアイガットユー。母シュエットは園田競馬場でデビューし、菊水賞を制した。母も管理した新子雅司調教師は「お母さんに比べて、ダートを走るのに程よい硬さがあります」と背中の感触を話し、単勝1.8倍の1番人気に支持された。

このレース2連覇中の北海道勢はエイシンレゲンダとエイシンエイトが参戦。前者は1000メートルで勝利を挙げ、後者は1100、1200メートルでデビュー2連勝を飾ったのち、前走は1600メートルで3着と、距離にメドを立てた。

この3頭がレースを引っ張るかと思われたが、内から押して押してハナを主張したのはバクレツマホウ。エイシンエイトが競りにいき、ペースは速くなった。その2頭の間で先手争いに加わったのはアドワン。しかし、ペースが上がることを察知するとすぐに控えて、内ラチ沿いでロスなく運んだ。

3コーナー手前でエイシンエイトが先頭に代わり、外からエイシンレゲンダも迫る中、アドワンは3番手インで抜け出すタイミングを計った。4コーナーでわずかに外にスペースができるとすかさず伸びて3馬身差で勝利。2着には最後方から追い込んだカタラ、3着は直線で盛り返したエイシンエイト、4着に中団からまくって直線入口では一旦先頭に立ちかけたイケノシイチャン、1番人気アイガットユーは5着だった。

アドワンの田野豊三騎手、土屋洋之調教師ともに重賞初制覇。ゴールの瞬間、土屋調教師は先輩調教師たちから「おめでとう」「よかったな」と祝福を受けた。そのうちの1人は田中淳司調教師(北海道)で、アドワンの母・カクシアジで2013年のこのレースを制覇した。土屋調教師も母娘制覇は意識していたようで、「このレースを狙うなら、アッパートライでいい競馬をしないといけないと思っていました」と、未勝利馬ながら前走はJRA認定レースに出走し、勝利。オーナーブリーダーの下河辺牧場も園田プリンセスカップ母娘制覇を果たした。

デビュー13年目でのタイトルとなった田野騎手は「長かったです。まだあまり実感が沸きません」とゆっくりと喜びを感じた。

10月13日の兵庫若駒賞へ登録もしているが、今後は、「グランダム・ジャパンも視野に入れたいと思います」と土屋調教師。10月18日の金沢シンデレラカップや11月1日の笠松・ラブミーチャン記念あたりが候補となってくるだろう。「前走後にはソエが出たので、馬の状態をしっかり見ながら決めたいです。装鞍所でテンションが上がりやすい馬でそこがポイントになりますが、まだまだ強くなると思います」

重賞3勝を挙げ、グランダム・ジャパン2歳シーズン女王となった母に追い付き、追い越す活躍が期待される。

取材・文大恵陽子

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

田野豊三騎手

自厩舎(の馬)で重賞初制覇ができて光栄です。レース前は先行したいと考えていました。どのくらい前について行っていいか分からない部分もありましたが、手応えはよかったです。4コーナーは少し焦りながら外に出しましたが、今までにないくらい弾けてくれました。前走からの成長もだいぶ感じます。

土屋洋之調教師

重賞を勝つってこんな感じなのかな、と噛み締めています。4コーナーで4着馬に先に動かれて負けたかと思いましたが、内を上手く立ち回ってくれました。所属の田野騎手とは二人三脚でやってきて、オーナーも乗せ続けることに理解してくださっての勝利で嬉しいです。まだまだ強くなる馬だと思います。