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第3回ゴールドジュニア

後方待機策から差し切る
  デビューから無傷の4連勝

台風14号の雲がもたらした雨の影響で、この開催の大井競馬は初日から3日目までが不良馬場。それでも水曜日が晴天だったおかげで、この日は第1レースから重馬場に回復。検量エリアの砂には「しっかりと湿っている」という感触があった。

そのコンディションならスピードタイプが有利。なかでも、唯一の門別デビュー馬であるポリゴンウェイヴが人気を集めた。3月10日の能力検査を47秒5(800メートル)という、他馬を圧倒するタイムで走破。4月20日のデビュー戦は単勝元返しの支持に応えて楽勝し、浦和での初戦となった前走を快勝して臨んできた。

パドックではメンコの下にチークピーシーズを付けて落ち着いた歩き。パドック周回中は2倍台前半だった単勝オッズは、最終的に1.9倍を示した。続く2番人気は2戦2勝のナックサンライズで3.6倍。3戦3勝のリベイクフルシティは4.6倍で、そのあとは10倍台が2頭と、やや偏った分布になった。

ファンファーレが生演奏され、ゲートが開くと各馬のスタートは互角。そこからポリゴンウェイヴを含む4頭が並んで先手を取ろうと競い合った。ナックサンライズはその4頭から2馬身ほど離れた5番手を追走。リベイクフルシティは9番手あたりからレースを進めた。

4頭での先行争いは3コーナー手前まで続き、内ラチ沿いを進んだピノホホッアが後退。4コーナーでは内からサンドエンプレス、ポリゴンウェイヴ、ポーチュラカが並ぶ形で直線を迎えた。

そのなかからポリゴンウェイヴが残り300メートルあたりで抜け出して、押し切り濃厚という形。しかしそれをめがけてリベイクフルシティが馬場の中央を目立つ脚で伸びてきた。その差はみるみる詰まり、ゴール手前で逆転。最後はポリゴンウェイヴに半馬身差をつけた。

検量室に戻ってきたところで、勝利に導いた和田譲治騎手は管理する宗形竹見調教師とハグ。直後の勝利騎手インタビューでも「興奮しています」と高ぶる気持ちを口にした。

逆に2着だったポリゴンウェイヴの左海誠二騎手は「早く先頭に立ちたくなかった」と意気消沈。「直線の半ばあたりで並ぶ形なら、遊ぶこともなかったと思うのですが」と、気性面に課題があることを示唆していた。

2着から3馬身差の3着には、先行争いからいったん下がったピノホホッアが、再び伸びて食い込んだ。「想像以上にいい馬。2戦目で初のナイターで右回り。でも堂々としていました」と、手綱を取った山崎誠士騎手は笑顔を見せた。

続く4着にはポーチュラカ。小杉亮騎手は「先頭争いのいちばん外で、よく粘ったと思います」と手応えを得た様子。短距離系の血統でも「もっと長いほうがよさそう」という感触があるそうだ。

2番人気のナックサンライズは5着。「この手応えならと思いましたが伸びなかったですね」と達城龍次騎手。前走から中1週という日程が影響したのかもしれない。

勝ったリベイクフルシティはこれで4戦4勝。和田騎手は続く最終レースも宗形厩舎の馬で勝利を挙げた。そしてまた調教師とハグ。「ホッとしました」と話した顔は喜びに満ち溢れていた。

取材・文浅野靖典

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

和田譲治騎手

宗形厩舎の馬で重賞を勝つことができて、本当に嬉しいです。スタート直後は砂を被ってひるみましたが、そのあとはしっかりと走って、直線では砂を被らないところに出したらしっかりと伸びてくれました。今日はいい経験になったと思うので、これからはどんな形の競馬でもできるようになると思います。

宗形竹見調教師

(地元大井での初重賞勝利は)やっと勝てたという思いです。育成時代に去勢しましたが、今は気性面での問題はそれほどないですね。今日の状態ならいい勝負をしてくれると思っていましたが、勝ってくれてよかったです。次は馬の様子を見てから決めますが、距離を延ばしていくことになると思います。