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第3回ウポポイオータムスプリント

人気に応え直線堂々抜け出す
  期待馬が5歳秋に重賞初制覇

いま地方競馬の短距離路線は、中央勢とも互角に戦えるほど充実している。たとえば、黒船賞JpnIII、かきつばた記念JpnIIIを連勝した兵庫のイグナイター。南関東でも、春には東京スプリントJpnIIIで重賞初挑戦だったギシギシがタイム差なしの3着に健闘。さきたま杯JpnIIを逃げ切ったサルサディオーネは主戦場は短距離ではないが、接戦の2着だったティーズダンクは先日のテレ玉杯オーバルスプリントJpnIIIでも3着に好走した。

それはホッカイドウ競馬も例外ではない。たしかに地方競馬では近年、売上げの上昇とともに賞金もアップし、中央の上級クラスからの転入が目立っていて、今回のこのレースでも単勝2番人気に支持されたイッツクールは中央オープンからの転入初戦を快勝しての2戦目。3番人気のスマートアヴァロンも昨年中央オープンから転入し、今年ここが2戦目。しかし単勝1.7倍の断然人気に支持されたのは、ホッカイドウ競馬でデビューした5歳馬スティールペガサス。今シーズンは北海道スプリントカップJpnIIIで地方馬最先着の5着のあと、1200メートルの特別戦2連勝と調子を上げてここに臨んだ。

いつものとおり抜群のスタートダッシュを決めたアザワクが先頭に立つと、クーファアチャラ、イッツクールが直後でマーク。注目のスティールペガサスはやや離れて5番手を追走した。

クーファアチャラに4コーナーまでプレッシャーを受けたアザワクだったが、直線を向くとこれを振り切って単独先頭。しかし残り100メートルを切ると、スティールペガサスが外から並ぶ間もなく交わし去っての完勝。2馬身差の2着にアザワクが粘り、角川秀樹厩舎のワンツー。クーファアチャラが1馬身半差で3着に入った。

「セリで高額な馬だったので入厩したときからプレッシャーがあって、なんとか重賞は勝たせてやりたいと思っていたのですが、去年の秋口から急成長というか安定感がでてきて、なんとか勝つことができました」と、角川調教師はホッとした様子。父サウスヴィグラスは短距離系としてはめずらしく年を重ねてから充実を見せる産駒も少なくなく、スティールペガサスは5歳秋に念願の重賞初制覇となった。

ウポポイオータムスプリントはJBCスプリントJpnIの指定競走として一昨年新設されたが、ホッカイドウ競馬では、2000メートルの道営記念とともに道営スプリントが短距離路線のシーズンを締めくくるレースでもあり、スティールペガサス、アザワクとも道営スプリントに出走予定とのこと。スティールペガサスは来年も現役の予定だが、1000メートルのグランシャリオ門別スプリント3連覇に、昨年道営スプリントを制したアザワクは今シーズン限りで繁殖入りとなる。

なお、兵庫の石堂響騎手はこの日が3カ月の期間限定騎乗の最終日。石堂騎手といえば門別初日、重賞の栄冠賞で急遽乗替りとなった14頭立て最低人気のコルドゥアンで直線大外一気を決め鮮烈な印象を残した。ウポポイオータムスプリントでは昨年の覇者ジャスパーシャインに騎乗。スタートで出遅れ最後方からの追走となり、栄冠賞と同じように直線大外から追い込んだものの6着という結果。それでも園田競馬とはまったく違った環境で充実の日々を送ったようで、「門別には毎年でも来たいです」と目を輝かせていた。

取材・文斎藤修

写真浅野一行(いちかんぽ)

Comment

桑村真明騎手

少し外々をまわったんですけど、イメージ通りの競馬はできました。追い出してからの反応が前走ほどの手応えではなかったんですが、最後のほうは馬が力一杯走ってくれてたので交わし切れました。2歳時から期待していた馬だったので、今回初めて重賞を勝つことができてうれしいです。

角川秀樹調教師

道中は思ったより手応えがあやしい感じだったんですが、ゴール前、しっかりつかまえたのは力をつけてる証拠だと思います。(アザワクと)2頭とも道営スプリントの予定で、(ホッカイドウ競馬のシーズンは)あと1カ月ちょっとしかないので、悔いが残らないようなレースをしていきたいと思います。