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第56回東京盃JpnII

直線大外から一気に差し切る
  休み明けも完勝でJBC連覇へ

前日より10度近くも気温が下がり、しとしとと雨が降り続き肌寒い大井競馬場。先行有利の稍重の馬場でメインレースを迎えた。

優勝馬にJBCスプリントJpnIの優先出走権が与えられるRoad to JBC東京盃JpnII。今年は、JRAとの交流競走となった1995年以降、初めて10頭を割る8頭立てとなった。それでも、昨年のJBCスプリントJpnIの覇者レッドルゼルや、今年のクラスターカップJpnIIIの勝ち馬オーロラテソーロ、ダートグレード5勝のテイエムサウスダン、地方からは春の東京スプリントJpnIIIで僅差の3着に好走したギシギシなど少数精鋭というメンバー。8頭中5頭が単勝オッズ10倍を切る混戦模様でレースがスタートした。

前走のアフター5スター賞ではスタートで躓いてしまい人気に応えられなかったギシギシが、今回は抜群のスタートで先手を取った。2番手にクルセイズスピリツ、直後にケイアイターコイズやオーロラテソーロが続き、5番手にテイエムサウスダン、その内にスマートダンディー。レッドルゼルは7番手でレースを進めていた。

直線に入ると、ギシギシ目がけてJRA勢が追撃。その中からテイエムサウスダンが残り100メートルあたりで先頭に立ったが、大外からさらに力強い末脚を見せたのがレッドルゼルだった。ゴール前でテイエムサウスダンを捉えると1馬身差で優勝。2着から3/4馬身差の3着には内目から伸びたオーロラテソーロが入った。

3月下旬のドバイゴールデンシャヒーンGI・2着からという昨年と同じローテーションで挑んだレッドルゼル。昨年は僅差の3着に敗れたが、今年は58キロの斤量を背負いながらも完勝。先行有利の馬場でも「自分のリズムで競馬をしたらあの位置におさまりました。頭数も少ないですし苦労するところは何もなかったです」(川田将雅騎手)と、さらにレベルアップした印象だ。これで最高の形で大一番に向かうことになりそうだ。JBCでは世界レベルの強さを見せてくれることだろう。

また、鞍上の川田将雅騎手は3日前にフランスで行われた凱旋門賞に騎乗し帰国したばかり。「大事な馬の依頼をいただいて、馬も結果を出してくれたことで今日の仕事も一つ終えることができました。これからも自分に与えられる仕事を一つ一つ全うしていきたいです」と仕事人らしい誠実な言葉でインタビューを締めくくった。

2着に敗れたもののテイエムサウスダンの岩田康誠騎手は全く悲観していなかった。「久々の1200メートル戦ということもあってか終始かかり気味でしたが盛岡に繋がるレースはできました。馬体重のプラス14キロは関係ありません。状態面も含め全体的に大きくなっています。蛯名正義厩舎に転厩して初戦でしたが、変わらず自分を乗せてくれているし次はその気持ちに応えたい。勝たせてあげることが自分の使命だと思います」と力強く語った。

地方馬で注目を集めたギシギシは5着だった。「スタートは良かったし、位置取りからはもらった!と思ったんですが、いつものトビではなく最後もふんばれませんでした。年明けからずっと出走しているし疲れもあると思います」と矢野貴之騎手。今年の南関東スプリント界を盛り上げてくれている一頭なだけに、巻き返しに期待したい。

取材・文 秋田奈津子

写真 早川範雄(いちかんぽ)

Comment

川田将雅騎手

休み明けを動くのが得意な馬ではないのですが、今日の返し馬から走れそうな感触を得ました。直線を向いてからも良い手応えで楽に捕まえられそうだったので急ぎませんでしたが、テイエムサウスダンの走りもしっかりしていてしぶとかったので最後は少し動かして前に出ることを求めてのゴールでした。