web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第49回オータムカップ

先行策から早め先頭で押し切る
  岡部誠騎手の好騎乗が光る勝利

昨年は兵庫のテーオーエナジーが2着に2秒7もの差をつけて圧勝したが、今年は兵庫からの遠征馬が不在。金沢と愛知から2頭が出走し、笠松所属が8頭というメンバーで争われることになった。

この開催が始まる前に、1~2コーナーと3~4コーナーに砂が補充された。その影響か、各コーナーのみならず、直線でも内ラチ沿いに蹄跡がほとんど残らないという状況で、前半戦から差し馬が優勢という傾向だった。

そのコンディションで迎えたオータムカップ。1番人気に推されたのは3歳馬のイイネイイネイイネ。その単勝オッズは最終的に2.9倍だったが、締め切り5分前は1.9倍を示していた。前走の岐阜金賞では「調子が良すぎて、逆に掛かってしまった」(渡邊竜也騎手)とのことで差のある3着に敗れたが、今回初めての古馬相手でもこれまでの走りが評価されたということだろう。

続いて3.6倍で愛知のアンタンスルフレと地元のウインハピネスが並び、金沢のフューリアスは8.2倍の4番人気でレースを迎えた。

ゲートが開くと出走馬のなかで唯一、前走で逃げていたウインリベルタが先手を取った。その直後にアンタンスルフレ、ロッキーブレイヴの愛知2頭が差なく続き、フューリアス、イイネイイネイイネ、ウインハピネスらはそのうしろを追走した。

ペースは見た目にも遅いもの。1周目のホームストレッチでは先頭から8番手までが5馬身ほどの間に入っていた。

その流れが動いたのは2周目の向正面。先行集団の外側を走っていた5番人気のロッキーブレイヴが動き、向正面の中央付近で先頭に立った。その姿は「機先を制した」という表現がピッタリ。3コーナー過ぎでは2番手に2馬身ほどの差をつけ、そのままの勢いで押し切った。

先行策を取っていたアンタンスルフレも3コーナー手前で動いたが、時すでに遅しの形で2馬身半差の2着。ウインハピネスは4コーナーから勢いよく大外を回って上昇してきたが、2着から1馬身差の3着だった。それでもウインハピネスは3カ月の休養明けで、笠松競馬場での3着内率100%をキープしたのは立派。その記録がどこまで続くのか、注目だ。

勝ったロッキーブレイヴは、ここまで1600メートル以下では11戦して連対率100%だが1700メートル以上ではJRA所属時も含めて6戦とも4着以下だった。その馬を1900メートルのレースで勝利に導いたのは、岡部誠騎手の手腕によるところが大きいように感じた。ちなみにロッキーブレイヴの連対は今回も含めて12回すべて岡部騎手とのコンビ。岡部騎手以外の騎手ではすべて4着以下となっている。岡部騎手は今年笠松で5度目の重賞制覇。8月にはJRA札幌競馬場のワールドオールスタージョッキーズへの出場も果たし、ますます技術に磨きがかかっているようだ。

一方、1番人気のイイネイイネイイネは5着。「手応えとしてはもう少し伸びても良かったかなとは思いますが、まだまだ成長途上。目標は先にありますから」と渡邊騎手は淡々と話した。しかしそのあと専門紙の記者から「1番人気でしたよ」と聞かされると「本当ですか?」と驚いた表情を見せていた。

取材・文浅野靖典

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

岡部誠騎手

スタートはそれほど速くないのですが、他の馬が主張していかなかったので前の位置を取ることができました。手ごたえがよくて大きくバテないタイプで、この馬の持ち味を発揮できたと思います。気温が下がったことで調子が戻ってきた感じもありますね。いい状態に仕上げてくれた厩舎の皆さんに感謝です。

竹下直人調教師

2カ月ぶりの前走を勝って状態がさらに上がっていましたが、本調子まではもう少しかな。でもスタッフがよく仕上げてくれました。次は東海菊花賞かなとは思いますが、ウチの厩舎には(東海菊花賞を予定している同馬主の)トミケンシャイリもいますからね。うれしい悩みができたという感じです。