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第21回鎌倉記念

3コーナーからの競り合いを振り切る
  川崎コース4連勝で2歳ダートの頂点へ

未来優駿2022の地方全国交流・鎌倉記念。今年は9頭と少頭数になったが、地方競馬の未来に広がる若駒たちが熱戦を展開した。

単勝1.6倍の断然の人気を集めたのは、浦和・小久保智厩舎に所属するヒーローコール。5月にデビューし、ここまで5戦4勝、2着1回。唯一敗れた2戦目の船橋のレースは、集中力が足りずに遊びながらの走りで、大外から伸びてきた馬にハナ差負けたもの。

当初からこの鎌倉記念を見据えるかのようなローテーションで、3戦目からは川崎コースを走り3連勝。今回もまだ幼さを残しながらもスケールの大きな走りで、4連勝目を重賞制覇で飾った。浦和所属馬による勝利は2010年の同厩舎によるキスミープリンス以来12年ぶりの快挙。

ホッカイドウ競馬からはイノセントカップを優勝しているスペシャルエックスと、同3着デステージョが参戦してきた。その2頭が前に行く展開で、ヒーローコールはそれを見ながらの3番手。「僕の中で道営の馬たちは未知数だったのでマークをしながら行こうと。1200メートル戦で楽にハナに行っているような馬なので、最初から位置取りは2、3番手になるかなとは思っていました」と左海誠二騎手。

2コーナーを回るところでヒーローコールは逃げるスペシャルエックスの2番手に上がり、後続は離れて縦長の展開になった。「遊びながらの走りだったので、離されたらまずいと思って追いかけたぶん、ペースは速くなったと思います」(左海騎手)

3コーナーでヒーローコールがスペシャルエックスをとらえにかかると、直線に入っても2頭の激しい競り合いとなったが、ヒーローコールがじわじわと引き離し、2馬身差をつけてのゴール。勝ちタイムは1分35秒0(重)。5馬身離れて3着にデステージョが入った。

ヒーローコールは着差以上の強さだったようで「必死には追っていましたが、最後は(スペシャルエックスが)来たらもうひと伸びしてくれるなという余力はありました。今日は力でねじ伏せてくれたようなものです。距離が延びて良さそうですし、来年のクラシックが楽しみですね」と左海騎手は話していた。

非常に楽しみな馬が誕生した。デビューから5カ月の間に馬体重が20キロ以上も増えた成長著しい2歳馬。父はダートGI/JpnIで10勝を挙げたホッコータルマエで、母系にはトウショウボーイやシンザンなど日本古来の名馬の名が綴られている。

一方、2着のスペシャルエックスに騎乗した矢野貴之騎手は「乗った感じは素直にいい馬です。最後も差し返そうとしていたし、1回使っていたら全然違っていたと思います」と振り返り、長距離輸送や初コース、初めての左回りや距離などを乗り越えての走りで、巻き返しを期待したい。

ヒーローコールとスペシャルエックスには、12月14日に川崎競馬場で実施される全日本2歳優駿JpnIへの優先出走権が与えられた。

取材・文高橋華代子

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

左海誠二騎手

これからは砂をかぶってどうかですけど、新馬戦でもちょっとかぶった時には大丈夫でした。未知数なところはありますが、(現状では)気持ちよく走らせるのが一番かなとは思っています。2歳で完成していないですし、まだまだ伸びていきそうな馬なので、これからもっと活躍できると思うので楽しみです。